TOPその他更新情報 外国判例の日本語訳を追加致しました。(韓国:(刑事)自動メッセージ配信等の機能をもつプログラムが悪性プログラムに該当しないとした事件[大法院2019.12.12.宣告])

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外国判例の日本語訳を追加致しました。(韓国:(刑事)自動メッセージ配信等の機能をもつプログラムが悪性プログラムに該当しないとした事件[大法院2019.12.12.宣告])

【判示事項】

[1] 旧情報通信網利用促進及び情報保護等に関する法律第71条第9号及び第48条第2項の違反罪は、悪性プログラムを伝達又は流布する行為のみにより犯罪が成立するのか否か(積極)、並びに、それにより情報通信システム等の毀損・滅失・変更・偽造又はその運用を妨害する結果が発生することを要するのか否か(消極)/このような「悪性プログラム」に該当するか否かを判断する基準
[2]  被告人らが自動会員登録、自動訪問及び友達申請等の機能を利用してネイバーカフェやブログ等に自動的に投稿及びコメントを登録し、メッセージ及び招待状を配信するなどの作業を繰り返し行うよう設計された多数のプログラムを販売することにより、正当な事由なく情報通信システム等の運用を妨害しうる悪性プログラムを流布したとして旧情報通信網利用促進及び情報保護等に関する法律違反により起訴された事案において、上記プログラムが同法第48条第2項の「悪性プログラム」に該当するとは断定し難いとした事例

【判決要旨】

[1] 旧情報通信網利用促進及び情報保護等に関する法律(2016年3月22日法律第14080号により改正される前のもの)第71条第9号及び第48条第2項の違反罪は、情報通信システム、データ又はプログラム等(以下「情報通信システム等」という)を毀損・滅失・変更・偽造し、又はその運用を妨害しうるプログラム(以下「悪性プログラム」という)が情報通信システム等に及ぼす影響を考慮して悪性プログラムを伝達又は流布する行為のみによって犯罪の成立を認め、それにより情報通信システム等の毀損・滅失・変更・偽造又はその運用を妨害する結果が発生することを要さない。このような「悪性プログラム」に該当するか否かはプログラム自体を基準とするが、その使用用途及び技術的構成、作動方式、情報通信システム等に及ぼす影響、プログラム設置に対する運用者の同意有無などを総合的に考慮して判断しなければならない。
[2] 被告人らが自動会員登録、自動訪問及び友達申請等の機能を利用してネイバーカフェやブログ等に自動的に投稿及びコメントを登録し、メッセージ及び招待状を配信するなどの作業を繰り返し行うよう設計された多数のプログラムを販売することにより、正当な事由なく情報通信システム等の運用を妨害しうる悪性プログラムを流布したとして旧情報通信網利用促進及び情報保護等に関する法律(2016年3月22日法律第14080号により改正される前のもの、以下「旧情報通信網法」という)違反により起訴された事案において、上記プログラムはインターネットコミュニティ等に業者や商品等の広告を行うのに使用するためのものであり、一般ユーザが通常作業するよりも速いスピードで作業するために自動的にコメントの登録やメッセージの配信等の作業を繰り返し行うものに過ぎず、基本的に一般ユーザが直接作業するのと同じ経路及び方法により上記の作業を行う点、上記プログラムの一部は、プロキシサーバを利用してネイバー等に間接的に接続できるようにすることでネイバー等の情報通信システム等がIPを遮断するのを回避できるよう設計されているが、これは、ネイバー等の情報通信システム等を毀損・滅失・変更・偽造するなど、その機能を物理的に遂行できなくする方法によってIP遮断を妨害するのではなく、上記情報通信システム等が予定した通りに作動する範囲内においてIP遮断事由に該当することなく通過できるよう手助けするものに過ぎない点、上記プログラムの使用により情報通信システム等の機能遂行が妨害され、又はネイバー等のサーバがダウンするなどの障害が発生すると認めるに足る証拠がない点などを総合すると、検察が提出した証拠のみでは上記プログラムが旧情報通信網法第48条第2項の「悪性プログラム」に該当すると断定することはできないという理由で、同趣旨で被告人らに無罪を言い渡した原審判決は正当であるとした事例。

2017ド16520判決[情報通信網利用促進及び情報保護等に関する法律違反(情報通信網侵害等)] [判例公報2020 285]