ラテン語源英単語は、英単語の50パーセントを超えるといわれています。従って、大量のラテン語源英単語を習得する上で、ラテン語源にまでさかのぼる方法はきわめて有益な方法です。
たとえば、ラテン語動詞agere(to drive, 駆り立てる等)の現在能動分詞(英語の現在分詞)はagens, agentis, agentumと変化しますが、この中のagentの部分が英語に入りagent(代理人等)となっています。次にagereの完了受動分詞(英語の過去分詞)はactus(男性単数主格)であり、これからは女性名詞actio(actionis, actionemと変化します)が生じ、英語のactionが生まれています。更にactusからは形容詞activusが派生し、これからは英単語active及びactivityが発生しています。そして、agereから派生した反復動詞agitareからは、英単語agitate, agitation及びagitatorが出現しています。
このようにラテン語文法の初歩を勉強し、羅和辞典や英語の語源解説書を活用すれば、効率よく英単語を習得することができると思われます。しばらく前までは日本人は中学に入ってから英語の勉強を開始しましたが、当事務所の所内ラテン語研究会のいずれのメンバーも「中学又は高校の時代にラテン語と出会いたかった。そうすれば、英単語の習得はもっと容易であったろうし、また楽しかったであろう」と述べています。そして、中高生時代に疑問として浮んだもののいくつかは、次のようなものです。
(1) なぜ英語の動詞には、-ate, -en, -fy, -ify, -ishや-ize等の接尾辞(suffix)を伴うものが多いのか?これらの接尾辞は、何に由来するのか?
(2) なぜ英語では、-tionという接尾辞を有する抽象名詞が目立つのか?この 接尾辞は、いずれから発生し、どのようにして形成されたのか?
(3) -able(-ible), -al, -ant, -ent, -ic, -ish及び-ive等の接尾辞で終わる形容 詞が多いのは、なぜなのか?
(4) sufficeという動詞に対応する形容詞は、なぜsufficientという形式をと るのか?また動詞satisfyに対応する名詞は、なぜsatisfactionとなるの か?
(5) 英語には、いくつの接頭辞(prefix)があるのか?これらはいずれから 生じたのか?またde, di, disやper, pre, proは似ていてまぎらわしいが、 それぞれがどのような関連を有するのか?
(6) 動詞constructは「建設する」を意味するのに、名詞constructionには なぜ「解釈」という意味があるのか?また動詞convinceは動詞convict と形式が似ているが、双方はどのような関係を有するのか?名詞 convictionは、2つの動詞に相応する意義を有しているが、これはなぜ なのか?
以上の疑問をラテン語学習によりすべて解決することはできませんが、多くの疑問は、ラテン語と密接に関係しています。従って、この「英語の中のラテン語源単語」というサイトにおいては、英語を学習しておられる中学生以上の方々のために必要かつ有益な情報を提供する予定です。