TOPその他更新情報 外国判例の日本語訳を追加致しました。(韓国:(租税)情報通信等のサービスにおける違約金に付加価値税が課税されるか否かに関する事件[大法院2019.9.10.宣告])

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外国判例の日本語訳を追加致しました。(韓国:(租税)情報通信等のサービスにおける違約金に付加価値税が課税されるか否かに関する事件[大法院2019.9.10.宣告])

【判示事項】

[1] 財貨又は役務を供給する者が、この供給を受ける者から支払われた違約金名目の金銭の実質が財貨又は役務の供給と対価関係にある場合、付加価値税の課税標準となる供給価額に含まれるか否か(積極)
[2]  情報通信事業等を営む甲株式会社が、移動電話及びインターネット通信サービス利用者との間で利用者が選択する料金制に応じて利用料金を定めるが、利用者が一定期間甲会社のサービスを利用することを条件として移動電話料金、インターネット通信料金及びモデム賃貸料等の割引を行う代わりに、利用者が約定期間内に契約を中途解約した場合、割引金額の範囲内で一定金額の違約金又は割引返還金を受ける内容の約定を締結したが、移動電話料金等の割引提供を受けた後に中途解約した利用者らから受領した違約金等を課税標準に含めて当該事業年度の付加価値税を申告した後、違約金等に関する付加価値税の還付を求める更正請求をしたところ、課税官庁がこれを拒否した事案において、諸般の事情に照らし、違約金等はそのうちの一部の名目が違約金となっていても、全体的にみると甲会社の財貨又は役務の供給対価とみなすべきであるとした事例

【判決要旨】

[1] 付加価値税法第29条第1項は、「財貨又は役務の供給に対する付加価値税の課税標準は、当該課税期間に供給した財貨又は役務の供給価額を合算した金額とする。」と規定しており、第3項は、「第1項の供給価額は次の各号の価額をいう。この場合、代金、料金、手数料その他いかなる名目であるかに関係なく財貨又は役務の供給を受ける者から受領する金銭的価値を有する全てのものを含むが、付加価値税は含まない。」と規定し、第1号で「金銭により対価を受ける場合:その対価」を挙げている(2013.6.7.法律第11608号により全部改正される前の旧付加価値税法第13条第1項第1号及び第5項の委任に基づく2013.6.28.大統領令第24638号により全部改正される前の旧付加価値税法施行令第48条第1項も同様の趣旨である)。
上記各法令の文言の内容及び体系によれば、付加価値税の課税標準となる供給価額とは、金銭により受ける場合の財貨又は役務の供給に対価関係がある価額、即ち、その対価を指すものといえるため、財貨又は役務の供給対価でない違約金又は損害賠償金等は供給価額にはならない。但し、財貨又は役務を供給する者がこの供給を受ける者から違約金名目の金銭の支払を受けたとしても、その実質が財貨又は役務の供給と対価関係にあるものであれば、これは付加価値税の課税標準となる供給価額に含まれるとするのが妥当である。
[2] 情報通信事業等を営む甲株式会社が、移動電話及びインターネット通信サービス利用者との間で利用者が選択する料金制に応じて利用料金を定めるが、利用者が一定期間甲会社のサービスを利用することを条件として移動電話料金、インターネット通信料金及びモデム賃貸料等の割引を行う代わりに、利用者が約定期間内に契約を中途解約した場合、割引金額の範囲内で一定金額の違約金又は割引返還金(以下「違約金等」という)を受ける内容の約定(以下、上記約定を「義務使用約定」という)を締結したが、移動電話料金等の割引提供を受けた後に中途解約した利用者らから受領した違約金等を課税標準に含めて当該事業年度の付加価値税を申告した後、違約金等に関する付加価値税の還付を求める更正請求をしたところ、課税官庁がこれを拒否した事案において、義務使用約定に基づく移動電話料金等の割引は利用者の中途解約を解除条件とする条件付割引であり、利用者は義務使用期間を維持し最後まで移動電話料金等の割引を受け、又は中途解約をして割引された金額の一部を返還することを選択することができた点、利用者が支払う違約金等は割引された金額の返還という性格を有し、一定期間が経過した後に返還すべき金額が減るのは単に長期間サービスを利用した利用者の負担を軽減するための措置に過ぎないといえる点、仮に、甲会社が一定の供給条件に従い割引した料金を値引きとみなし供給価額から除外して税金計算書の発行を行ったとしても、付加価値税法第32条第7項及び付加価値税法施行令第70条第1項第3号に従い、その増加分に対して修正税金計算書の発行を行うことができたであろう点に照らし、違約金等は、甲会社と義務使用約定を締結した利用者が中途解約を選択することにより割引された金額のうち一部を追加で納付すべき金額と考えることができるため、そのうち一部の名目が違約金となっていても、全体的にみると甲会社の財貨又は役務の供給対価とみなすべきであるにもかかわらず、これと異なる判示をした原審判断に法理誤解の誤りがあったとした事例。

2017ドゥ61119判決[付加価値税更正拒否処分取消し] [判例公報2019 1998]