「最新!中国ビジネス法の実務動向」(No.10 外国投資法の制定作業について(5))が掲載されました。
No.10 外国投資法の制定作業について(5)
1. 情報報告制度の内容
パブコメ稿では第5章「情報報告」の章(第75条から第99条)において「一般規定」「外国投資事項報告」「外国投資事項変更報告」「定期報告」及び「外国投資統計」についてそれぞれ規定しています(※1)。これらの要点を整理すれば以下の通りです。
① 一般的な内容
外国投資家及び外国投資企業(※2)は、外国投資法に基づく情報報告の義務を負い、外国投資情報報告システムを通じて外国投資主管部門に対して各種の報告を行います。報告された外国投資情報は、外国投資家、外国投資企業の商業秘密や個人プライバシーに関係する場合等一定の例外事由に該当する場合を除き、原則として上記システムを通じて対外的に公示され、また、第三者からの照会対象となります。(以上につき第78条、第79条、第82条から第84条)。
② 外国投資事項報告
外国投資家又は外国投資企業は、投資の実施前(※3)又は投資実施日から30日以内に所定の情報報告を行う必要があります。具体的には、外国投資家の中国国内における投資が外国投資企業の設立又は変更に関係する場合、外国投資企業が、外国投資家の基本情報(名称、住所、登録地、実際支配者等)、外国投資の基本情報(投資金額、投資の出所、投資領域、投資区域等)及び外国投資企業の基本状況(名称、住所、組織機構コード、登録地、持分構成等)等を報告します(※4)。なお、当該外国投資が参入許可を必要とする場合(※5)、参入許可を経てから30日以内に報告義務を履行します。その際、上記の報告事項に加えて、参入許可取得の関連状況も報告する必要があります(以上につき第85条、第87条及び第88条)。
③ 外国投資事項変更報告
外国投資の関連事項に変更が生じた場合、外国投資家又は外国投資企業は変更事由の発生後30日以内に変更報告を行なう必要があります。具体的には、外国投資家に関してその名称・住所等の変更、合併・分割等が発生した場合、外国投資に関して投資金額・投資出所等の変更があった場合、外国投資権益の譲渡・リース等が実施された場合、外国投資企業に関してその名称・住所等の変更、合併・分割等が発生した場合に上記の変更報告を行なうことになります(第89条)。
(次回に続く。)