中国新法令ニュースを更新致しました。
2011.12.22
- 会社債権持分権転換登記管理弁法(国家工商行政管理総局 2011年11月23日発布,2012年1月1日施行)
本弁法は、デット・エクイティ・スワップ(以下「DES」という。)による増資手続に関する登記管理等を定めるものである。
DESに関しては、従来、「会社法」(2006年1月1日改正施行)が債権による現物出資も許容されることを窺わせる規定を置き(同法第27条1項)、外商投資企業に関する外貨管理関連規定にも、外商投資企業の外国側当事者による登記済み外債の当該企業の資本への転換が認められることを前提とした手続規定が置かれていたが、本弁法のようにDESを明示的に認める中央法規は存在しなかった。
本弁法においては、DESは、「債権者が、中国国内に設立された有限責任会社又は株式有限会社に対してそれが法により有する債権を、当該会社の出資持分に転換し、当該会社の登録資本を増加させる行為」と定義される(第2条)。本弁法に基づくDESの登記がなされる場合として、本弁法は、(1)会社と会社債権者との間に生じた契約上の債権を出資持分に転換する場合であって、反対債権が履行済みで、かつ、法律法規・定款の禁止条項にも反しないとき、(2)確定した人民法院の裁判により確認された債権を出資持分に転換する場合、(3)破産更生手続等において人民法院により承認された更生計画等に組み入れられた債権を出資持分に転換する場合、の3種を定める(第3条)。
会社法第27条第3項の規定を受けて、DESによる出資金額は、他の非貨幣財産による出資金額と合わせて登録資本の70%を超えてはならないとされる(第6条)。
また、会社法第27条第2項の規定を受けて、本弁法は、DESを実行するためには、債権について資産評価機構の評価をうける必要があり、出資額はその評価値を超えてはならいと定める(第7条)。
そのほか、手続き的な内容として、本弁法は、①DESについては、他の出資方法と同様、出資検査を受ける必要があること(第8条第1項)、②出資検査証明の記載事項として、債権の基本状況、債権の評価の状況、DESの履行完了状況、(認可が必要な場合における)認可に係る状況等の内容が含まれなければならないこと(第8条第2項)、③登録資本・払込済資本等の変更登記手続を申請する必要があること(第9条)、④その際には、「会社登記管理条例」(2006年1月1日改正施行)等に基づき提出が求められる資料のほか、上記第3条の定めるカテゴリーに応じて、DES承諾書、裁判文書、更生計画等の文書を提出しなければならないこと(第10条)等を定める。(田原直子弁護士) - 企業労働紛争協議調停規定(人力資源及び社会保障部 2011年11月30日発布,2012年1月1日施行)
人力資源及び社会保障部は2011年11月30日、「労働紛争調停仲裁法」に基づき、企業内の労働紛争に関する協議及び調停に関する部門規則(以下「本規定」という。)を発布した。本規定は2012年1月1日から施行される。その背景には、中国では従業員の権利意識の高まりからストライキなどの労働紛争が後を絶たないため、企業内で早期に解決する仕組みを整え、従業員の不満を抑え込む狙いがある。本規定の主な内容は以下のとおり。
(1) 協議
①労働者はその他の組織又は個人に対し協議を委託することができることを明確にしたほか(第9条第2項)、協議手続をより具体化した(第10条~第12条)。
(2) 調停
②大中型企業に調停組織の一つである企業労働紛争調停委員会(「労働法」第80条第1項)(以下「調停委員会」という。)の設立を義務づけた(第13条第1項)。
③調停委員会成員の人数について、労使双方が協議の上確定すること、双方の人数が対等であるべきことを規定した(第15条)。
④調停委員会の職責を労働紛争の予防に重点を置きつつ列挙した(第16条)。
⑤当事者双方は調停合意の手続及び内容の適法・有効性について仲裁委員会に確認を求め、調停書の発行を受けることができるほか(第27条第2項)、仲裁委員会は調停合意を仲裁判断の根拠とすることができる旨規定し(第28条)、調停合意に基づく履行の促進を図った。(谷友輔弁護士)