外国判例の日本語訳を追加致しました。(韓国:(一般行政)ボランティア奉仕者の勤労者性が認められた事件[大法院2019.5.30.宣告])
2019.08.06
【判示事項】
[1] | 勤労基準法上勤労者に該当するか否かを判断する基準 |
[2] | 甲が乙地方自治団体における住民自治センターの施設管理運営のためのボランティア奉仕者として委嘱され1日あたり2万ウォンを奉仕実費名目で受け取り、施設物管理、プログラム運営に関する補助支援等の業務を行い、3年後に再委嘱された後は乙自治団体の要請に従い全日制でボランティア奉仕者らを総括する業務及び住民センター運営に関する会計業務を追加で行い55万ウォンから80万ウォンを支援金名目で受け取って勤務していたが、その3年後に乙自治団体が甲に対する施設ボランティア奉仕者再委嘱を拒否すると甲が不当解雇救済申立を行った事案において、甲が再委嘱拒否当時に賃金を目的として従属的関係において乙自治団体に勤労を提供した勤労基準法上勤労者に該当するとした事例 |
【判決要旨】
[1] | 勤労基準法上勤労者に該当するか否かは、契約の形式が雇用契約であるか否かよりも実質的に勤労者が事業又は事業場に賃金を目的とした従属的関係において使用者に勤労を提供したのか否かに従い判断しなければならない。ここで従属的関係の有無は、業務内容を使用者が定め、就業規則又は服務(人事)規程等の適用を受け、業務遂行過程において使用者が相当な指揮・監督を行っているか、使用者が勤務時間及び勤務場所を指定し勤労者がこれに拘束されているか、労務提供者が自ら備品・原資材や作業道具等を所有し、又は第三者を雇用して業務を代行させるなど独立して自身の計算により事業を営むことが可能であるか、労務提供による利潤の創出及び損失の招来などリスクを自ら抱えているか、また、報酬の性格が勤労自体の対象的性格であるか、基本給や固定給が定められているか並びに勤労所得税を源泉徴収しているか等の報酬に関する事項、勤労提供関係の継続性及び使用者に対する専属性の有無と程度、社会保障制度に関する法令における勤労者の地位認定の有無等の経済的・社会的な諸条件を総合して判断しなければならない。ただし、基本給や固定給が定められていたか、勤労所得税を源泉徴収していたか、社会保障制度に関して勤労者として認定されていたか等の事情は、使用者が経済的に優位にある立場を利用して自由に定める余地が大きいことから、このような点が認められないというのみで勤労者性を安易に否定してはならない。 |
[2] | 甲が乙地方自治団体の住民自治センターの施設管理運営のためのボランティア奉仕者として委嘱され1日あたり2万ウォンを奉仕実費名目で受け取り、施設物管理、プログラム運営に関する補助支援等の業務を行い、3年後に再委嘱された後は乙自治団体の要請に従い全日制でボランティア奉仕者らを総括する業務及び住民センター運営に関する会計業務を追加で行い55万ウォンから80万ウォンを支援金名目で受け取って勤務していたが、その3年後に乙自治団体が甲に対する施設ボランティア奉仕者再委嘱を拒否すると甲が不当解雇救済申立を行った事案において、再委嘱以降、甲が追加業務を行うことになった経緯及び追加業務の内容、これと関連して支払を受けた金銭の名目及び額、対価性に対する当事者らの認識及び意思等を考慮すると、甲が再委嘱拒否当時に「ボランティア活動基本法」等に基づくボランティア活動により住民センターにおいて施設管理等の業務を行っていたとはいい難く、甲自身が提供する勤労に対する対価として賃金の支払を受けていたというのが妥当である点、乙自治団体は甲の勤労場所及び勤務時間を指定し、甲に勤務日誌及び勤務状況簿を作成させ、甲は住民自治センター運営細則で定める業務を行い、それ以外に乙自治団体所属の地方公務員から指示を受けて各種業務資料を作成し及び提出し、勤務日誌の確認を受けるなど乙自治団体から業務遂行に関する相当な指揮・監督を受けていたと考えられる点などを総合すると、甲が再委嘱拒否当時に賃金を目的として従属的関係において乙自治団体に勤労を提供した勤労基準法上勤労者に該当するとした事例。 |
2017ドゥ62235判決[不当解雇救済再審判定取消] [判例公報2019 1318]