「最新!中国ビジネス法の実務動向」(No.4 乗用車のナンバープレート発給規制政策について)が掲載されました。
No.4 乗用車のナンバープレート発給規制政策について
1. ナンバープレートの発給規制政策とは
中国の一部の都市では、乗用車のナンバープレート発給を新規に申請する場合、原則として、抽選(中国語:「揺号」)やオークション(中国語:「競価」)への参加が必要です(以下「発給規制」)。ナンバープレートの新規発給を制限することで当該地域の自動車数の増加速度を抑制し、大気汚染の改善や交通渋滞の緩和等に繋げることを目的とします。ここ数年北京市、上海市、広州市、天津市及び杭州市等、主に大都市部で導入されてきました。
2. 上記政策の概要
発給規制の実施地域では、通常、ナンバープレートの年間発給総数を予め規定し、その上限範囲内でナンバープレートの新規発給希望者が抽選やオークションに参加します。いわゆる新エネルギー車(純電動自動車等)には優先的にナンバープレートが発給されるなどの例外もありますが、発給希望者の大部分は従来型の乗用車を購入することを予定しており、これらの人々にとって対象地域においてナンバープレートを新規取得することは容易ではありません。近時では抽選における競争率上昇や、オークションにおける落札価格の高額化傾向(上海市では、平均落札価格が数万元となることもあります。)も著しいためです。
3. 当該地域の新車販売への影響
発給規制の実施地域では、新車販売状況に対する消極的影響も予想されます。ナンバープレート取得が困難な状況(抽選に何度も申し込まなければならない、又は、高額の取得費用を支払わなければならない状況)では、最初から乗用車の購入を諦めるという消費者の選択もありうるためです。発給規制の実施地域中には有力自動車メーカーが拠点を構え、自動車産業が現地雇用や税収に大きく貢献しているところもありますので、その影響は軽視できません。そのような影響が想定されるにも関わらず発給規制の導入が相次いでいるのは、近時において、地域の経済発展だけでなく環境問題解決も同様に重視するという価値判断傾向が徐々に強まっていることの現れであるともいえます。
4. 最近の事例 ~深セン市における発給規制の開始
最近、広東省深セン市でも同様の動きがありました。2014年12月29日に当該市政府は「小型自動車数量増加調整コントロール管理の実行に関する通告」を発して、同日18時より発給規制を開始しました。現在の予定では、今後、当該地域における小型自動車の増加数量上限は毎年原則10万台とされ、その範囲内において新規ナンバープレート取得希望者のための抽選やオークションが実施されます。今後、上述した各都市や深セン市と同様に発給規制を実施する都市が現れる可能性もあります。