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インド法最新情報(日印社会保障協定の発効)(アジア経済法令ニュース16-38)

Indian Legal Alert
インド法最新情報
(日印社会保障協定の発効)

文責 弁護士 奥野剛史

2012 年11 月に署名された日印社会保障協定が2016 年10 月1 日より遂に発効さ
れることになった。
当該協定は、①日印両国への社会保険料の二重負担の問題の解消と②日印両国での
保健期間の通算を認めることで保険料が掛け捨てとなってしまう問題の解消の二つ
を主な内容とする。
従来のインド駐在の日本人又は日本企業は、日本における年金受給資格を確保する
ため、日印両国における保険料の二重負担を強いられるものの、インドで支払った保
険料に関しては受給資格を満たさないので掛け捨てになるという重たい負担を余儀
なくされてきた。それだけに日印社会保障協定の早期の発効が切望されてきた。
このような状況の中、今回の日印社会保障協定の発効によって、原則としてインド
への派遣期間が5 年を超えない駐在員に関しては、一定の手続きを踏むことでインド
における社会保障制度への加入が免除されることになり、保険料の二重負担の問題が
ほぼ解消されることになる。
また、インドにおける社会保障制度への加入が強制される場合であっても、日印両
国での社会保険制度への加入期間を合算できるようになったため、日印両国での年金
受給資格を取得することが容易になった。その結果、日印両国から、加入期間に応じ
て年金を受給できるようになり、インドで支払った保険料が掛け捨てになってしまう
事態は大幅に解消されることになる。
このように、日印社会保障協定の発効により、インドにおける日本企業のビジネス
環境は大きく改善されることになると思われる。

以上