TOPアジア経済法令ニュース会計記帳に関する2015 年6 月19 日付モンゴル国法律(新版)[仮訳](アジア経済法令ニュース増刊No.16-106)

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会計記帳に関する2015 年6 月19 日付モンゴル国法律(新版)[仮訳](アジア経済法令ニュース増刊No.16-106)

会計記帳に関する2015年6月19日付
モンゴル国法律(新版)[仮訳]
2016年1 月1 日施行
目次
第1章 総則
第2章 会計記帳の基準及び原則
第3章 会計記帳の処理
第4章 会計記帳の指導管理及び組織化
第5章 公認会計士
第6章 その他

第1章
総則
第1条
法律の目的
1 この法律の目的は、会計記帳に係る活動の原則、指導管理及び組織化に係る法的根拠を確定し、経済単位及び組織の会計記帳を処理し、財務諸表を発行し、及び会計記帳に係る活動に対し監督を課すことに関連する関係を調整することに存する。
第2条
会計記帳に関する法令
1 会計記帳に関する法令は、モンゴル国憲法及びこの法律に適合させて発布した法令のその他のアクトによりこれを構成する。
2 モンゴル国の国際条約にこの法律の定めと異なる定めのある場合には、国際条約の定めを遵守する。
第3条
法的術語の定義
1 この法律において使用する次の術語は、次に述べる意義により理解する。
 (1) 「会計記帳の発生主義」とは、金銭を受領し、又は支払ったと否とを問わず、収益を取得した時に、又は費用を支出した時に認識して記帳する方法をいう。
 (2) 「複式簿記」とは、業務又は流通を勘定科目の借方及び貸方に並列して記帳を行うことをいう。
 (3) 「原始証憑」とは、業務又は流通が発生したことを証明して記帳する契約、請求、支払いを行った証憑その他の証明をいう。
 (4) 「日計表」とは、業務又は流通を総勘定元帳の勘定科目に移転する前の期間の順序により記帳する帳簿をいう。
 (5) 「総勘定元帳」とは、経済単位又は組織の財務諸表を構成するすべての勘定科目をいう。
 (6) 「会計専門家」とは、総合大学、専門大学又はカレッジを会計専門家としての専攻により学士以上の等級で卒業した者をいう。
 (7) 「公認会計士」とは、公認会計士の資格を取得した会計専門家、財務専門家又は経済専門家をいう。
 (8) 「会計主任」とは、会計記帳を取り扱い、指導管理して組織し、責任を引き受けることにより、経済単位又は組織の指導管理者により任命された会計専門家をいう。
 (9) 「会計記帳に係る方針文書」とは、記帳の基礎及び財務諸表を発行するのにおいて依拠すべき原則を確定した規則、指示及び方法を含む文書をいう。
 (10) 「対応財務機関」とは、財務及び記帳に係る事項を取り扱う国家行政の中央並びにアイマグ及び首都の政府の首長の管轄下にある財務機関をいう。
 (11) 「連結財務諸表」とは、会社に関する法律第6 条第4 項所定の財務諸表をいう。
 (12) 「執行指導管理者」とは、次の者をいう。

(a) 会社に関する法律第83条所定の者
(b) 会社以外の法人については、当該法人の定款において執行指導管理者と定める者

 (13) 「インスティテュート」とは、モンゴル国の政府に関する法律第19条に定めたところに従い、第24条ないし第26条の執行を保障し、国際会計委員会においてモンゴル国を代表する権限を有する機関をいう。

第2章
会計記帳の基準及び原則
第4条
会計記帳の基準
1 経済単位及び組織は、次の記帳基準を遵守する。
 (1) 会計報告の国際基準
 (2) 中小経済単位又は組織の会計報告の国際基準
 (3) 国家セクターの会計記帳の国際基準
2 前項第(1)号所定の基準を遵守する経済単位又は組織の分類及び標準指標は、これを法律に適合させて財務及び記帳に係る事項を取り扱う政府の成員が定めて社会に対し発表する。当該分類は、次の経済単位又は組織を必ず含ませる。
 (1) 外国又は内国の資本市場において登録したすべての種類の株式会社
 (2) 外国又は内国の資本市場において登録すべく申請を提出した会社
 (3) 経済活動の特別認可証に関する法律第15条第2項ないし第6項及び第13項所定の方針により特別認可証を有する経済単位又は組織
 (4) 国若しくは地方の所有を有し、又はそれらの所有の参加を有する経済単位
 (5) エネルギー、熱又は蒸気を供給する方針により活動を行う公共サービス組織
 (6) 政党又はモンゴル国政府に関する法律第19 条所定の国の特定目的義務を契約により履行する非国家組織
 (7) 商業銀行会社又は特別目的会社及び投資ファイナンス方針により活動を行う経済単位又は組織
3 第1項第(2)号所定の基準は、中小製造事業に関する法律第5条第1項所定の標準指標を満たす経済単位又は組織がこれを遵守する。
4 第1 項第(3)号所定の基準は、予算に関する法律第4 条第1 項第(34)号所定の機関がこれを遵守する。
第5条
会計記帳の原則
1 経済単位又は組織は、次の会計記帳の原則による。
 (1) 単一性の原則
 (2) 継続性の原則
 (3) 真実性の原則
 (4) 正確性の原則
 (5) 計量可能性の原則
 (6) 適合性の原則
第6条
会計記帳の基礎
1 経済単位又は組織は、会計記帳を発生主義により処理する。
第7条
会計記帳の言語及び記帳通貨
1 モンゴル国の領域において活動を展開する経済単位又は組織及び外国の経済単位又は組織の代表事務所は、会計記帳をモンゴル語で処理する。
2 モンゴル国の領域において活動を展開する経済単位又は組織は、業務又は流通を国の通貨建てで記帳し報告する。
3 経済単位又は組織及び代表事務所は、財務及び記帳に係る事項を取り扱う国家行政中央機関と合意した場合には、業務又は流通を外国通貨により記帳することができる。この場合において、会計報告の指標は、国の通貨単位であるトグルグによりこれを表示して報告する。
第3章
会計記帳の処理
第8条
財務諸表
1 会計報告の国際基準に従い会計記帳を処理し、財務諸表を発行する義務を有する経済単位又は組織の財務諸表は、次の構成要素を有する。
 (1) 財務状況の報告【貸借対照表】
 (2) 収益の詳細な報告【損益計算書】
 (3) 所有の変動の報告【株主資本等変動計算書】
 (4) キャッシュ・フローの報告【キャッシュ・フロー計算書】
 (5) 財務諸表の説明【附属明細表】
2 第4条第4項所定の機関は、予算に関する法律第26条第3項に適合させて会計記帳を処理し、財務諸表を発行する。
3 1つ以上の従属会社を有する経済単位又は組織は、第3条第1項第(11)号所定の連結財務諸表を発行する。従属会社が従属会社を有し、それらが従属会社を有する等というような連結した関係がかかわりを有する場合には、最上位の親会社は、連結財務諸表を発行する。上位の親会社が外国において登記を有する場合には、モンゴル国において登記を有する従属会社のうちの上位会社は、中間的連結財務諸表を発行する。
4 経済単位又は組織の執行指導管理者及び会計主任は、財務諸表に署名し、印章(スタンプ)を押捺して承認し、かつ、執行指導管理者は、財務諸表の正確性につき責任を負う。
第9条
財務諸表の報告
1 経済単位又は組織は、財務諸表をこの法律所定の期間に対応財務機関に対し電子形式により送付する義務を有する。
2 財務諸表を電子形式により接受した対応財務機関は、次の義務を引き受ける。
 (1) 財務諸表をこの法律所定の期間に報告したか否かをチェックする義務
 (2) 会計専門家又は公認会計士が発行したか否かをチェックする義務
 (3) 財務諸表の情報を統計的検討の目的のために改善する義務
3 次の場合には、財務諸表の情報を利害関係人のアクセス可能とする。
 (1) 第4条第1項第(1)号所定の基準を遵守する経済単位又は組織の財務諸表の情報を望む者に対する場合
 (2) 当該経済単位又は組織の指導管理者が同意した場合において、これを望む者に対する場合
4 予算に係る機関は、予算に関する法律第8 条に定めるところに従い財務諸表を報告して交付する。
5 対応財務機関に対し電子形式により送付する財務諸表は、経済単位又は組織の執行指導管理者又は会計主任がこれに電子署名をして承認する。
6 対応財務機関の承認した電子財務諸表に基づいて、関連機関が公租公課の計算を行うほか、国の権限を有する機関は、その電子データバンクにおいて、承認した経済単位又は組織の財務諸表及び附属明細表を使用する。
7 経済単位又は組織は、監査を行わせた財務諸表及びその要約を監査結論とともに自己の電子サイトに配置して開示することができる。
第10条
財務諸表の年度及び財務諸表を発行する期間
1 経済単位又は組織の財務諸表の年度は、当該年度の1 月1 日から開始し、12月31日をもって終了することができる。
2 新規に設立された経済単位又は組織の最初の財務諸表の年度は、国家登記簿に登記させた日から開始し、当該年度の12月31日をもって終了することができる。
3 第4条第1項第(1)号所定の基準を遵守する義務を有する経済単位又は組織は、上半期の財務諸表を7 月20 日までに、年度財務諸表を翌年の2 月10 日までに対応財務機関に対し電子形式により送付する。
4 連結財務諸表を発行する義務を引き受けた経済単位又は組織は、年度財務諸表を翌年の3月1日までに親会社の連絡する対応財務機関に対し電子形式により送付する。
5 第3 項所定以外の、及び前項所定の連結財務諸表の連結への参加者である経済単位又は組織は、年度財務諸表を翌年の2 月10 日までに対応財務機関に対し電子形式により送付する。
6 アイマグ及び首都の政府の管轄下の財務機関である対応機関は、経済単位又は組織の年度末の財務諸表の総体を財務及び登記に係る事項を取り扱う国家行政中央機関に対し翌年の3月20日までに送付する。
第11条
会計記帳証憑及び財務諸表の保存
1 経済単位又は組織は、アーカイブに関する法令に別段の定めのある場合を除き、会計記帳及び財務諸表を10年以上保存する。
第12条
財産及び支払いに係る評価集計の検査
1 財産及び支払いに係る評価集計の検査を行う組織に係る事項は、経済単位又は組織の執行指導管理者及び会計主任が責任を負う。
2 財産及び支払いに係る評価集計の検査は、次の場合には、必ずこれを行う。
 (1) 年度財務諸表を発行する前である場合
 (2) 財産責任者及び財産計算と関連する職員が交代させられる場合
 (3) 財産が不足し、又は財産を不法に管理したかもしれないと認める場合
 (4) 天災又は火災等の突発的危険に遭遇した後の場合
 (5) 経済単位又は組織を再編し、若しくは解散する旨の決定を発出し、又は破産事件を開始した場合
 (6) 法律所定のその他の場合
3 国家所有の財産又は支払いに係る評価集計の検査は、国家所有又は地方所有に関する法律その他法律所定の期間に、及び必須の必要のある際にこれを行う。
4 国家所有の、又は国家所有の参加を有する経済単位又は組織は、損失を受けて不足することとなった財産に係る評価集計をその価値又は市場価格の最高値により行う。
第13条
会計記帳の原始証憑
1 原始証憑は、会計記帳を処理し、財務諸表又は情報を評価して正確に発行する根拠となる。
2 経済単位又は組織において共通に遵守する原始証憑の様式及び具備する方法は、財務及び記帳に係る事項を取り扱う政府の成員がこれを承認する。
3 経済単位又は組織は、次条第2 項所定以外の自己の特徴に適合した内部において遵守する原始証憑及び様式を定款所定の権限を有する指導管理機関をして承認させて遵守することができる。
4 経済単位又は組織の執行指導管理者及び会計職員は、生産又はサービス段階の作業ライン及び経済活動の範囲において生じた財産又は資源の動き又は変化の全部を原始証憑に書面又は電子方式により記録して確保する。
5 原始証憑にそれに基づいて同意し、又は検査した職員が署名し、印章又はスタンプを押捺することにより、当該証憑は、効力を生ずる。電子形式により編成した原始証憑は、電子署名により確保したものとする。
6 原始証憑の正確性については、それに基づき同意し、又は検査して接受した職員が責任を負う。
7 原始証憑の編成のない業務又は流通を記帳し、財務諸表に反映することは、これを禁止する。
第14条
会計記帳の処理
1 モンゴル国の領域において活動を展開する経済単位又は組織及び外国の経済単位又は組織の代表事務所は、会計記帳を処理し、財務諸表を発行する。
2 経済単位又は組織は、会計記帳を複式簿記の方法により処理する。
3 会計記帳に係る情報を取り扱い処理する業務は、次の順序によりこれを行う。
 (1) 原始証憑を編成する。
 (2) 日計表に記入する。
 (3) 明細科目及び勘定科目を処理する。
 (4) 業務及び流通の報告を発行する。
 (5) 財務諸表を発行する。
4 会計記帳においては、次の項目を必ず記帳する。
 (1) すべての経済業務及び流通
 (2) すべての財産、投資及び債権
 (3) すべての負債
 (4) 経済活動におけるファイナンス・リース
 (5) すべての収益
 (6) すべての費用
 (7) 会計記帳の国際基準所定のその他の項目
5 経済単位又は組織の経済業務及び流通は、いずれの国の領域において生じたかを問わず、関連する原始証憑及び記帳様式をこの法律に定めたところに従い他の証憑及び記帳様式とともに保存する。
第15条
会計記帳上の誤謬の訂正
1 経済単位又は組織の会計記帳の処理において生じた誤謬は、誤謬の生じた原因及び訂正方法を具体的に反映した書面及び報告に基づいてこれを訂正し、かつ、同意し、又は訂正をした職員は、署名して保証する。
2 会計記帳上の誤謬は、誤謬の生じた時の財務諸表に反映する方法により、これを訂正する。
第16条
財務上の追加情報又は説明を要求する権利
1 次に掲げ、又は法律により権限を授与された他の者は、財務諸表について追加解釈又は説明を要求する権利を有する。
 (1) 対応財務機関
 (2) 銀行及び金融市場を監督・調整する権限を有する国家又は非国家機関
2 経済単位又は組織の会計主任は、前項所定の者の要求した解釈又は説明を期間内に真実かつ完全に発出して与える。
第4章
会計記帳の指導管理及び組織化
第17条
会計記帳の指導管理システム
1 財務及び記帳に係る事項を取り扱う国家行政中央機関は、次の特定目的義務を実施する。
 (1) 国の範囲において会計記帳、監督及び税務の公認コンサルティング並びに財産評価に係る統一方針を実施し、指導管理及び組織化を通じて保障する。
 (2) 関連する法令の実施を組織して保障する。
 (3) 経済単位又は組織の遵守すべき会計記帳の基本的な、及び関連する基準及び規則を承認して遵守させる。
 (4) 経済分野の範囲において遵守すべき会計記帳に係る規則、指示、方法及び様式を関連する国家行政中央機関と共同して承認して遵守させる。
 (5) 財務諸表を対応財務機関に対し電子形式により送付し、一元化情報の利用と関連する規則を定め、国の範囲において経済単位又は組織の財務諸表の一元化を行い、調査結論を発出する。
 (6) 会計記帳の専門家を養成し、技能を向上させるトレーニング計画について監督を行う方針により教育事項を取り扱う国家行政中央機関と共同で活動する。
 (7) この法律所定の会計報告の国際基準を遵守する義務を有する経済単位又は組織が当該基準をどのように遵守しているのかについて対応財務機関と共同で監督を行う。
 (8) 会計記帳に係るいくつかの特定目的義務を選択し、検査に基づいてモンゴル国の政府に関する法律第19 条に定めたところに従い契約により移転を受けた非国家機関の活動について監督を行う。
 (9) 公認会計士の資格を授与し、及び資格を延長する試験の規則並びに試験を行う委員会の構成員を承認する。
 (10) 国際的に受け入れられた専門機関がモンゴル国及び外国において組織した公認会計士の資格を授与する試験に合格した者に対し公認会計士の資格を授与する規則を承認する。
 (11) モンゴル国の領域において活動を展開する経済単位又は組織について会計記帳の処理に係る認可されたプログラムを満たす程度を社会に対し公表する。
2 財務及び記帳に係る事項を取り扱う国家行政中央機関の組織に会計記帳、監査及び税務の公認コンサルティング並びに評価の方針及び方法に係る事項を取り扱う部門を置く。
第18条
経済単位又は組織の会計記帳の指導管理及び組織化
1 会計記帳を指導管理して組織する義務は、経済単位又は組織の執行指導管理者が引き受ける。
2 経済単位又は組織の指導管理者は、会計記帳の法令、基準、制度、規則及び指示に適合させて会計記帳の方針に係る文書を承認し、遵守して活動する。
3 経済単位又は組織の会計記帳を処理し、財務諸表を発行し、報告する者は、会計専門家又は公認会計士とする。
4 経済単位又は組織は、契約に定める会計職員又は会計記帳公認コンサルティング・サービスを取得して活動することができる。
5 会計職員の1 人編制定員を有する経済単位又は組織において活動する会計職員又は契約に定める会計職員は、会計主任の義務を履行する。
6 公認コンサルティング・サービスを提供する組織は、関係する経済単位又は組織に対し会計主任の権限及び義務を実施する者を自ら任命する。
7 第4条第1項第(1)号所定の基準を遵守する義務を有する経済単位又は組織以外の経済単位又は組織の執行指導管理者が会計専門家又は公認会計士である場合には、第3項の規定は、適用しない。
8 公認コンサルティング・サービスを提供する契約に第6 項に定めたところに従い任命された会計主任の権限及び義務、引き受ける責任並びにコンサルティング・サービスを提供するのにおいて生ずる可能性のある紛争と関連する事項を反映する。
第19条
会計記帳の内部監督
1 経済単位又は組織の会計記帳の内部監督に係る方針、指導管理及び組織化は、経済単位又は組織の権限を有する者がこれを確定する。
2 第4条第1項第(1)号所定の基準を遵守する義務を有する経済単位又は組織は、内部監査単位を有することができる。
第20条
会計主任の権限及び義務
1 経済単位又は組織の会計主任は、専門的技能及び倫理を有し、かつ、次の権限を有する。
 (1) 会計記帳の原始証憑、関連するその他の文書、報告及び情報を所定の期間に督促して発行させる権限
 (2) 会計記帳の国際基準又は法令に抵触する決定を実施することを拒絶する権限
 (3) 経済単位又は組織の財産的収益若しくは費用に係る証憑又は財務諸表において第2順位で署名する権限
 (4) 効力を有しない原始証憑により、又は原始証憑により証明不能な業務又は流通を記帳しないこととする権限
 (5) この法律所定の権限を行使したことと関連することにより経済単位又は組織の指導管理者が根拠のない責任を引き受けさせられ、又は職務から解任されたと認める場合には、関連する機関に対し権利を保護させる旨の申請を提出する権限
2 会計主任は、次の義務を引き受ける。
 (1) 第17条第1項所定の権限を有する者の法的要求を遅滞なくすべて実施する義務
 (2) 経済単位又は組織の会計記帳方針に係る文書を立案し、承認させ、又は実施を組織する義務
 (3) 関連する国際基準、権限を有する機関が承認した会計記帳基準、規則又は指示及び第6条所定の原則により会計記帳を処理し、財務諸表を発行する義務
 (4) 会計記帳処理がこの法律及び財務に係るその他の法令所定の要求に適合しているか否かを監督する義務
 (5) 勘定科目内の負債、債務及び支払いの決済を監督し、業務又は流通を発生前に監督して確保する義務
 (6) 財産及び支払いに係る評価集計の検査を行い、結果を確定し、サプライヤー又は買主と決済を行い、残余を確保し、書面化作業を組織して指導管理する義務
 (7) 経済単位又は組織の租税、納付金、徴収金又は控除金に係る評価集計を検査し、これらにつき監督を行い、専門的サービスに係るアドバイス・サポートを取得する義務
 (8) 経済単位又は組織の指導管理者に対し会計記帳に係る事項につき専門的サポートを提供する義務
 (9) 経済単位又は組織の指導管理者及び財務諸表の利用者を適時に、正確な情報により保障する業務を組織する義務
 (10) 監査組織が意見を提出した記帳上の誤謬の訂正を専門的レベルで監督し、指導管理者に周知させ、同意する場合には当該財務年度又は四半期に訂正を行い、同意しない場合には監査人に対し根拠のある説明を送付する義務
 (11) 自ら直接に指導管理者の下で活動している会計職員の業務の履行を監督し、熟練させ、教育に含める措置を講ずる義務
 (12) 経済単位又は組織の財務諸表をこの法律所定の権限を有する機関に対しこの法律所定の期間に送付する義務
 (13) 権限を有する機関が承認した専門職倫理規則により活動する義務
第21条
会計記帳及び監査基準委員会
1 会計記帳及び監査基準委員会は、財務及び記帳に係る事項を取り扱う政府の成員の決定により任命された会計記帳及び監査に係る方針により公認された9 名以上の構成員を有する。
2 会計記帳及び監査基準委員会の活動及び財務に係る規則は、財務及び記帳に係る事項を取り扱う政府の成員がこれを承認する。
3 会計記帳及び監査基準委員会は、次の特定目的義務を有する。
 (1) 会計報告の国際基準及び監査の国際基準の公式翻訳を監督し、運用の説明及び建議を承認する義務
 (2) 会計記帳の基本的な、及び関連する基準及び規則を監督して承認させるために財務及び会計記帳に係る事項を取り扱う政府の成員に対し送付する義務
 (3) 会計記帳及び監査基準委員会の活動に係る規則により定められたその他の活動
第22条
会計記帳国家監察官
1 会計記帳及び監査に関する法律の実施について監督を行う権限を有する者は、国家監察官とする。国家監察官は、国家主任監察官、国家高級監察官及び国家監察官という等級を有する。
2 会計記帳国家主任監察官の権限は、政府がこれを授与する。
3 会計記帳国家高級監察官及び国家監察官の権限は、国家主任監察官がこれを授与する。
4 会計記帳国家高級監察官及び国家監察官は、公認会計士とする。
5 会計記帳国家監察官は、決定の印刷シートを使用し、かつ、決定の印刷シートは、財務及び会計記帳に係る事項を取り扱う政府の成員が承認する。
6 会計記帳国家監察官の規程は、政府がこれを承認する。
第23条
会計記帳職員の手当又はインセンティブ
1 経済単位又は組織の指導管理者の決定により、会計記帳職員に対し専門職資格手当を支給することができる。
2 会計記帳活動において成果をあげて活動した会計記帳職員は、これを報奨することができる。
第5章
公認会計士
第24条
公認会計士の資格を授与する試験に参加する者に課すべき要求
1 公認会計士の資格を授与する試験に参加する者は、次の要求を満たす者とする。
 (1) 総合大学、専門大学又はカレッジを会計専門家としての専攻により学士以上の等級で卒業し、専門家として2年以上活動したことがあること。
 (2) 総合大学、専門大学又はカレッジの会計専攻課程を充足し、会計専門家、経済専門家又は経営専門修士以上の等級を取得して卒業し、会計専門家として4年以上活動したことがあること。
第25条
公認会計士の資格及びそれの失効
1 公認会計士の資格は、第1 次試験に合格した場合には4 年の期間を伴い、第2次試験に合格した場合には期間の定めなくしてこれを授与する。
2 次の場合には、公認会計士の資格は、インスティテュートの指導管理ボードの決定によりこれを失効させる。
 (1) 死亡した場合
 (2) 自ら拒絶した場合
 (3) 次回の試験に合格せず、又は正当な理由なくして当該試験に参加せず2 年が経過した場合
 (4) 公認会計士の専門職倫理、法令又は関連する基準若しくは規程に違反したことが証明された場合
3 公認会計士の資格が失効した者が1 年以内において公認会計士の資格を授与する試験に参加することは、これを禁止する。
第26条
インスティテュートの特定目的義務
1 第17 条第1 項第(8)号所定の決定及び契約の範囲において、インスティテュートは、次の特定目的義務を実施する。
 (1) 公認会計士の資格を授与し、専門技能を中断することなく向上させる教育を組織する義務
 (2) 公認会計士及び監査人の倫理規程を承認し、実行につき監督をする義務
 (3) 会計記帳及び監査の国際基準又はその追加若しくは変更を翻訳し、基本基準を立案し、使用に係る説明及び建議を立案して発行する義務
 (4) 監査法人を方法の指導管理又は指示を通知することにより充実させる義務
 (5) 経済単位又は組織の戦略、ガバナンス、執行及び将来の方向の関係を示した報告に係る方法を立案する義務
 (6) 監査活動の基準、専門職倫理規程に違反した監査人の公認会計士の資格を失効させる義務
第6章
その他
第27条
会計記帳に関する法令に違反した者に対し引き受けさせるべき責任
1 会計記帳の法令に違反した者に対し刑事責任を引き受けさせない場合には、裁判官又は会計記帳国家監察官は、次の行政処罰を科する。
 (1) 第4条第1項、第7条、第8条第4項、第9条第1項、第2項、第5項若しくは第6項、第10条第3項ないし第6項、第11条第1項、第13条、第14条、第15 条第1 項、第16 条第2 項、第18 条第2 項若しくは第3 項又は第20 条に違反した場合には、故意又は過失のある職員は、最低労働賃金額に5倍を乗じたものと等しい範囲のトグルグの罰金を科する。
 (2) 経済単位又は組織が会計記帳を処理せず、又は財務諸表を発行しなかった場合には、関連する職員は、最低労働賃金額に5 倍ないし10 倍を乗じたものと等しい範囲のトグルグの罰金を科する。
 (3) 第10条第3項ないし第5項所定の期間に財務諸表を送付することができたが、第17 条第1 項第(5)号所定の規則により定めた期間に確保しなかった場合には、当該経済単位又は組織は、最低労働賃金額に3倍を乗じたものと等しい範囲のトグルグの罰金を科する。
 (4) この法律に定めたところに従い行政処罰を科したことは、故意又は過失のある者をもたらした損害を賠償すべき義務から免除する根拠とはならない。
第28条
法律の施行
1 この法律は、2016年1月1日から施行する。

(モンゴル法令研究会翻訳。会長:萩野敦司 副会長:村瀬健太 吉川景司 事務局長:大牟田啓)