TOPその他更新情報 「最新!中国ビジネス法の実務動向」(No.3 統一的な不動産登記制度の整備)が掲載されました。

その他更新情報

「最新!中国ビジネス法の実務動向」(No.3 統一的な不動産登記制度の整備)が掲載されました。

No.3 統一的な不動産登記制度の整備

1. 「不動産登記暫定施行条例」が公布される

近時、国務院より「不動産登記暫定施行条例」(以下「本規定」)が公布されました。本年3月1日より施行されます。当該規定については2014年夏頃に意見募集手続が実施されており、今般、正式公布に至ったものです。本規定は「総則」「不動産登記簿」「登記手続」「登記情報の共有と保護」「法律責任」及び「附則」の全6章、合計35条で構成されます。

2. 本規定が制定された背景は

本規定制定の背景には、全人代の「国務院機構改革及び職能転換方案」(2013年3月)が建物登記、林地登記、草原登記及び土地登記の職権担当部門を統一する方向性を示したことがあります。その後、当該決定に基づき関連部門の具体的職責が明確にされるなど(「不動産登記職責の整合に関する通知」による。)、統一的な不動産登記制度の導入準備がこれまでに進められてきました。分散的な管理体制が採用されている既存制度による不効率や利用者の不便という問題点が、近時において認識されていたことが窺われます。

3. 本規定の内容は

本規定は登記対象たる権利を10項目にわたって広汎に規定し(本規定第5条)、不動産登記業務の指導・監督部門を国務院国土資源主管部門とします(同第6条)。また本規定は統一的な不動産登記簿を設置すること(同第8条)、登記手続の内容(同第14条以下)、及び登記情報管理のための基礎プラットホームを構築して、各レベルでの登記情報共有化を図ることも規定します(同第23条)。これらの内容はいずれも、統一的な不動産登記制度構築の重要な根拠条項として理解されます。

4. 今後継続する統一的な不動産登記制度構築作業

今後細則規定等が制定され、統一的な不動産登記、情報共有・照会制度が数年をかけて徐々に構築されていく見込みです。その過程においては、既存の各種不動産権利証書を引き続き有効とすること等、既存制度の利用者に対する影響を最小限に留めることにも配慮されているようです(本規定第33条、上記「不動産登記職責の整合に関する通知」第2条第3項)。

(2015年1月5日 弁護士 小林幹雄