TOPその他更新情報 「最新!中国ビジネス法の実務動向」(No.5 環境分野における「公益訴訟」制度)が掲載されました。

その他更新情報

「最新!中国ビジネス法の実務動向」(No.5 環境分野における「公益訴訟」制度)が掲載されました。

No.5 環境分野における「公益訴訟」制度

1. 「公益訴訟」とは

「公益訴訟」とは、環境汚染や多数消費者の権利侵害等、社会公共利益を損なう行為に対して、特定の機関・関連組織が原告となって人民法院に訴訟を提起できるという制度です。2013年に施行された改正「民事訴訟法」第55条が新たに規定しました。このうち環境分野における公益訴訟(環境保護団体等が原告となり提起します。以下「環境公益訴訟」)については、近時、関連規定の整備が進んでおり、これから提訴事例が増加する可能性もあります。

2. 改正「環境保護法」第58条と近時の司法解釈

環境公益訴訟の根拠規定には民事訴訟法の上記規定のほか、本年1月1日に施行された改正「環境保護法」第58条があります。当該条項は環境公益訴訟の原告となりうる資格を一定の「社会組織」と規定して、その条件を明示しています(なお、規定上、個人は環境公益訴訟の提起主体として予定されていません。)。当該条項が「社会組織」に課する条件は主に「区を設ける市レベル以上の人民政府民政部門で法律に基づき登記していること」、「環境保護公益活動に連続5年以上専門的に従事し、かつ、違法記録のないこと」だけであり、簡潔な規定内容となっていますが、本年1月7日に施行された最高人民法院の司法解釈「環境民事公益訴訟案件審理の適用法律にかかる若干問題に関する解釈」では、当該条件がより具体化されています。

3. 今後、提訴事例が増加する可能性も

環境公益訴訟に関する今般の法整備がなされる以前においても、環境保護団体等が環境汚染行為の差止等を求めて企業等を提訴し、勝訴する例はありました。他方で、関連規定・制度の整備が十分ではなく、その運用においては不明確な点が存在したことも否定できません。しかしながら、今後は、上述のような関連規定の登場(※1)及び制度の整備(※2)を受けて、環境公益訴訟の提訴・受理事例が本格的に増加することもありえます(近時の報道では、改正環境保護法の施行後、新たに受理された環境公益訴訟の事例も既に存在するようです。)。現地に進出する日系企業としても、これまで以上に環境汚染防止体制の整備が重要となります。

【注】
※1 上述した最高人民法院の司法解釈では、これまでは必ずしも明確ではなかった管轄、提訴書類、請求事項、鑑定手続及び訴訟費用等の事項についてもそれぞれ詳細に規定しています。
※2 最近では、最高人民法院や地方の人民法院において、環境関連訴訟専門の法廷を設置する動きもあります。また、最高人民法院は関連文書(法発[2014]11号 第4条)にて、今後、環境公益訴訟制度を積極的に推進する方針も示しています。
(2015年1月14日 弁護士 小林幹雄