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外国判例の日本語訳を追加致しました。((民事)不提訴合意の効力に関する事件[大法院2019.8.14.宣告])

2019.11.01

【判示事項】

[1] 少額事件に関して上告理由とすることができる「大法院の判例に相反する判断をしたとき」という要件を備えていないが、大法院が実体法解釈・適用の誤りに関して判断することができる場合
[2] 不提訴合意が存在するか否かに関して当事者の意思を解釈する方法及び権利義務の主体である当事者間の不提訴合意が有効であるための要件
[3] 甲保険会社の自動車総合保険契約に加入している車両と乙保険会社の自動車総合保険契約に加入している車両間で発生した交通事故に関して、自動車保険求償金紛争審議に関する相互協定に従い構成された審議委員会が調停決定をし、その決定が確定したものの、上記調停決定の確定により甲会社と乙会社間に不提訴合意が成立するか否かが問題となった事案において、諸般の事情と関連法理に照らせば不提訴合意の存在を否定せざるをえず、仮に、相互協定の解釈上調停決定が確定された場合に不提訴合意が成立したものと認める余地があっても、これは、相互協定の当事者らが裁判請求権を具体的な紛争が生じる前に予め一律的に放棄したものであって、不提訴合意制度の趣旨に違反し無効であるとした事例
[4] 甲保険会社の自動車総合保険契約に加入している車両と乙保険会社の自動車総合保険契約に加入している車両間で発生した交通事故に関して、自動車保険求償金紛争審議に関する相互協定に従い構成された審議委員会が甲会社側の車両運転者と乙会社側の車両運転者の過失比率を定める内容の調停決定をし、その決定が確定されると、甲会社が調停決定の定めるとおりに求償金を支払った後、乙会社を相手に上記事故につき甲会社側の車両運転者には過失が一切ないとして上記求償金相当の不当利得返還を求めた事案において、調停決定が確定された場合、当事者間で調停決定の主文と同様の内容の合意が成立し民法上和解契約に関する法理が適用されうるにもかかわらず、これとは異なり、調停決定が確定されても当事者間で法律関係を終局的に決定する効力が認められないことを前提に、甲会社側の車両運転者に過失が一切ないと認め甲会社が支払った求償金が不当利得であるとして返還対象になるとした原審判断には、相互協定に従い確定された調停決定の効力に関する法理誤解の誤りがあったとした事例

【判決要旨】

[1] 少額事件において具体的な事件に適用される法令の解釈に関する大法院判例が未だ存在しない状況であるが、同様の法令の解釈が争点となっている多数の少額事件が下級審に係属しているだけでなく、裁判部によって異なった判断をする事例が発生している場合には、少額事件であるという理由で大法院が法令の解釈に関する判断をしないまま事件を終結させることになれば、国民生活の法的安全性を害するおそれがある。したがって、このような特段の事情がある場合には、少額事件に関して上告理由とすることができる「大法院の判例に相反する判断をしたとき」という要件を備えていなくとも、法令解釈の統一という大法院の本質的な機能を遂行する次元から実体法解釈・適用の誤りに関する判断をすることができるといえる。
[2] 不提訴合意は、訴訟当事者に憲法上保障された裁判請求権の放棄といった重大な訴訟法上の効果を生じさせるものである。このように、その合意の存否の判断に従い当事者らの間で利害関係が克明に分かれることになる訴訟行為に関する当事者の意思を解釈する場合、表示された文言の内容が不明瞭であるが故に当事者の意思解釈に関する主張が対立する素地があり、さらに、当事者の意思を参酌した客観的・合理的な意思解釈と外部に表示された行為により推断される当事者の意思すらも不明瞭であるときは、できるだけ消極的な立場から当該合意の存在を否定せざるをえない。なお、権利義務の主体である当事者間における不提訴合意であっても、その当事者が処分しうる特定の法律関係に関するものであって、その合意当時に各当事者が予想することのできた状況に関するものであれば有効となる。
[3] 甲保険会社の自動車総合保険契約に加入している車両と乙保険会社の自動車総合保険契約に加入している車両間で発生した交通事故に関して、自動車保険求償金紛争審議に関する相互協定(以下「相互協定」という)に従い構成された審議委員会が調停決定をし、その決定が確定されたものの、上記調停決定の確定により甲会社と乙会社間に不提訴合意が成立するか否かが問題となった事案において、相互協定には、それにより構成された審議委員会が行った調停決定が一定の手続を経て確定された場合に当事者間に調停決定の主文と同様の内容の合意が成立したのと同一の効力を有する旨が規定されているに過ぎず、また、さらに、不提訴合意が成立したのと同一の効力を有する旨は明示されていない点、及び、相互協定には調停決定が確定されて以降正当な理由なく訴えを提起した当事者に対しては一定の額の制裁金が課されうると規定されているが、これは事後的制裁の可能性を定めるものであって訴え提起自体を禁止する趣旨とはいい難い等の事情並びに関連法理に照らせば、不提訴合意の存在を否定せざるをえず、仮に、相互協定の解釈上調停決定が確定された場合に不提訴合意が成立したものとみなす余地があっても、これは相互協定の当事者らが裁判請求権を具体的な紛争が生じる前に予め一律的に放棄したものであって、不提訴合意制度の趣旨に違反し無効であるとした事例。
[4] 甲保険会社の自動車総合保険契約に加入している車両と乙保険会社の自動車総合保険契約に加入している車両との間で発生した交通事故に関して、自動車保険求償金紛争審議に関する相互協定(以下「相互協定」という)に従い構成された審議委員会が甲会社側の車両運転者と乙会社側の車両運転者の過失比率を定める内容の調停決定をし、その決定が確定すると、甲会社が調停決定の定めるとおりに求償金を支払った後、乙会社を相手に上記事故につき甲会社側の車両運転者には過失が一切ないとして上記求償金相当の不当利得返還を求めた事案において、相互協定の参加者と適用対象、調停決定を行う審議委員会の構成と審議手続及び不服手続等を考慮すると、相互協定は適法・有効であるため協定会社らの間で拘束力を有し、相互協定の内容上審議委員会の調停決定が一定の手続を経て確定された場合に当事者間で調停決定の主文と同様の内容の合意が成立するが、当該合意は民法上和解契約に該当するため、ここでは特段の事情がない限り、民法上の和解契約に関する法理が同様に適用されうるにもかかわらず、これとは異なり、相互協定に基づく調停決定が確定されても当事者間で法律関係を終局的に決める効力は認められないことを前提に、上記調停決定とは異なり、甲会社側の車両運転者に過失が一切ないとして甲会社が乙会社に支払った求償金は、法律上の原因なく支払われた不当利得であるため返還対象になるとした原審判断には相互協定に従い確定された調停決定の効力に関する法理誤解の誤りがあったとした事例。

017ダ217151判決[求償金] [判例公報2019 1722]

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