TOPその他更新情報 外国判例の日本語訳を追加致しました。(韓国:(民事)営農組合法人債権者の当該組合員に対する弁済請求可否に関する事件[大法院2018.8.1.宣告])

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外国判例の日本語訳を追加致しました。(韓国:(民事)営農組合法人債権者の当該組合員に対する弁済請求可否に関する事件[大法院2018.8.1.宣告])

【判示事項】

1. 法人の準拠法を規定する国際私法第16条本文の適用範囲 / 法人の構成員が法人の債権者に対し責任を負うか否か、及び責任を負うならば、範囲はどこまでなのか等に関して当該法人の設立準拠法に従わなければならないか否か(積極)
2. 旧農漁業経営体の育成及び支援に関する法律上営農組合法人の債権者が、債権発生当時の各組合員に対し債務の履行を請求することができるか否か(原則的積極)/ 組合員全員のために商行為となる行為により組合債務を負うことになった場合、組合員らが連帯責任を負うか否か(積極)、及びこのような法理は、営農組合法人の債権者が権利を行使する場合にも同じであるか(積極)
3. 甲営農組合法人が別荘式休養タウンの開発事業を推進する中で、乙外国法人と休養タウンの分譲及び会員募集のための販売・広報業務代行契約を締結したところ、乙法人が甲法人の組合員である丙等を相手に契約に基づく約定金の支払を求めた事案において、甲法人の設立準拠法である大韓民国の法に従い、丙等は連帯して乙法人に約定金を支払う義務があるとした事例

1. 国際私法第16条本文は、「法人又は団体は、その設立の準拠法による。」として、法人の準拠法は、原則として、設立準拠法を基準に定めている。この条項が適用される事項を制限する規定はないが、その適用範囲は、法人の設立及び消滅、組織及び内部関係、機関及び構成員の権利及び義務、行為能力等法人に関する問題全般を含むと解される。したがって、法人の構成員が法人の債権者に対し責任を負うか否か、万一、責任を負うならば、その範囲はどこまでなのか等に関しても、当該法人の設立準拠法に従わなければならない。

2. 旧農漁業経営体の育成及び支援に関する法律(2015年1月6日法律第12961号により改正される前のもの、以下「旧農漁業経営体法」という。)は、営農組合法人の実体を民法上組合とみなし、協業的農業経営を通じた農業生産性の向上等を図るため、一定の要件を備えた組合体に特別に法人格を付与している(第16条第3項)。営農組合法人については、旧農漁業経営体法等関連法令に特段の規定がないならば、法人格を前提としたものを除き、民法の組合に関する規定が準用される(第16条第7項)。
営農組合法人の債権者が組合員に対し権利を行使する場合に関しては、旧農漁業経営体法等に特段の規定がない。したがって、営農組合法人の債権者は、原則として、組合員に対する債権者の権利行使に関する民法第712条に従い、債権発生当時の各組合員に対し、持分比率に応じて、又は均分して当該債務の履行を請求することができる。ただし、組合員全員のために商行為となる行為によって組合債務を負うことになったならば、商法第57条第1項を適用して組合員等の連帯責任を認めなければならないが、このような法理は、営農組合法人の債権者が権利を行使する場合にも同じである。

3. 甲営農組合法人が別荘式休養タウンの開発事業を推進し、乙外国法人と休養タウンの分譲及び会員募集のための販売・広報業務代行契約を締結したところ、乙法人が甲法人の組合員である丙等を相手に契約に基づく約定金の支払を求めた事案において、甲法人は、大韓民国の旧農漁業経営体の育成及び支援に関する法律(2015年1月6日法律第12961号により改正される前のもの、以下「旧農漁業経営体法」という。)により設立されたため、甲法人の構成員である丙等が甲法人の債権者である乙法人に対し連帯責任を負うか否かに関しては、甲法人の設立準拠法である大韓民国の法が準拠法となり、旧農漁業経営体法に従い、営農組合法人である甲法人の組合員である丙等は、法人が負う債務について一般的に民法第712条に従い弁済責任を負うが、甲法人は、組合員全員のために商行為となる行為によって上記約定金債務を負ったため、丙等は、商法第57条第1項に従い連帯して乙法人に約定金を支払う義務があるとした事例。

2017ダ246739判決[約定金] [判例公報2018 1854]