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外国判例の日本語訳を追加致しました。(韓国:(租税)日韓両国に住居を有する者の納税義務発生国を判断する基準に関する事件[大法院2019.3.14.宣告])

2019.06.03

【判示事項】
[1] 旧所得税法施行令第2条第1項で国内に住所を有するとみなす要件として挙げている「国内に生計を共にする家族」と「職業及び資産状態に照らし継続して1年以上国内に居住するものと認められるとき」のそれぞれの意味

[2] ある個人が所得税法上の国内居住者であると同時に外国居住者にも該当し、外国法上所得税等の納税義務者に該当する場合、いずれの国家の居住者とみなすのかを決定する方法

[3]「大韓民国と日本国間の所得に対する租税の二重課税回避と脱税防止のための協約」第4条第2項(a)号で定める「恒久的住居」の意味及びこのような恒久的住居が両締約国のいずれにも存在する場合、上記条約上二重居住者の居住地国に対する次の判断基準である「重大な利害関係の中心地」の意味

[4]プロサッカー選手である甲が、日本の乙株式会社が運営するサッカー球団で活動した際に支払われた年俸について総合所得税の確定申告を行い、これを納付したところ、課税官庁が総合所得税の増額を行い更正・告知した事案において、諸般の事情に照らし、甲は、わが国と日本のいずれにも恒久的住居を置いているものの、甲と人的・経済的関係がより密接に関連している締約国はわが国ではなく日本であるため、「大韓民国と日本国間の所得に対する租税の二重課税回避と脱税防止のための協約」上日本の居住者とした事例

 

【判決要旨】
〔1〕旧所得税法施行令(2015.2.3.大統領令第26067号により改正される前のもの)第2条第1項が国内に住所を有するとみなす要件として挙げている「国内に生計を共にする家族」とは、わが国において生活資金や住居場所等を共にする近い親族を意味し、「職業及び資産状態に照らし継続して1年以上国内に居住するものと認められるとき」とは、居住者を所得税納税義務者とみなす趣旨に照らすと、1年以上わが国に居住を要する程度に職場関係若しくは勤務関係等が維持されるものと考えられるとき又は1年以上わが国に留まって資産の管理・処分等をする必要があるものと考えられるときのように、場所的関連性がわが国と密接な場合を意味する。

〔2〕ある個人が所得税法上の国内居住者であると同時に外国の居住者にも該当し、外国法上所得税等の納税義務者に該当する場合には、1つの所得に対し二重で課税されることもあるため、これを防止するために各国間で租税条約を締結し別途の規定を置いている。納税義務者がこのような二重居住者に該当する事実が認められれば、重複する国家と締結された租税条約の定めるところに従い、いずれの国家の居住者とみなされるのかを決定しなければならない。

〔3〕「大韓民国と日本国間の所得に対する租税の二重課税回避と脱税防止のための協約」(以下「韓・日租税条約」という)第4条は、第1項本文で「この協約の目的上『一方締約国の居住者』とは、その締約国の法に従い住所・居所・本店若しくは主たる事務所の所在地又はこれと類似の性質の他の基準に従いその締約国において納税義務を有する者をいう。」と定めている。また、同条第2項は、「本条第1項の規定によりある個人が両締約国の居住者となる場合、その地位は次のとおり決定される。」と定め、(a)号で「その者は、その利用しうる恒久的住居(permanent home)を置いている締約国の居住者とみなす。その者が両締約国内で利用しうる恒久的住居を有している場合、その者は、その人的及び経済的関係がより密接な締約国(重大な利害関係の中心地、centre of vital interests)の居住者とみなす。」と規定しており、さらに、(b)号、(c)号及び(d)号において順に、(a)号により決定できない場合に韓・日租税条約上居住者の地位を決定する基準を設けている。
ここでの恒久的住居とは、個人が旅行又は出張等の短期滞在のために構えたものではなく、それ以外の目的で継続して滞在するための住居場所であって、いつでも継続使用しうるあらゆる形態の住居を意味するものであることから、その個人が住居を所有し、又は賃借する等の事情は恒久的住居を判断するにあたり考慮すべき事項ではない。このような恒久的住居が両締約国のいずれにも存在する場合には、韓・日租税条約上二重居住者の居住地国に対する次の判断基準である重大な利害関係の中心地、すなわち、両締約国のうち、その個人と人的及び経済的により密接に関連している締約国がいずれであるのかを検討しなければならず、これは、家族関係、社会関係、職業、政治・文化活動、事業場所、財産の管理場所等を総合的に考慮した際に両締約国のうちその個人の関連性の程度がより深い締約国を意味する。

〔4〕プロサッカー選手である甲が、日本の乙株式会社が運営するサッカー球団で活動した際に支払われた年俸について総合所得税の確定申告を行い、これを納付したところ、課税官庁が総合所得税の増額を行い更正・告知した事案において、甲は、高等学校を卒業した直後から日本のプロサッカーリーグで活動し、その後乙会社と契約期間を3年として契約を締結して日本のプロサッカー球団でプロサッカー選手として活動した点、甲が乙会社から契約期間中に提供された日本での住居は、甲の短期滞在のための場所ではなく甲が乙会社との契約期間中に継続して滞在するための住居場所であって、甲と家族が長期間継続して実際に使用もしていた点、国内に滞在した期間は甲がサッカーの国家代表に選抜されて一時的に訪問した際に過ぎず、別途わが国で社会活動や事業活動をしていたと認めるに足りる資料もない点等に照らし、甲はわが国と日本のいずれにも恒久的住居を置いているものの、甲と人的・経済的関係がより密接に関連している締約国はわが国ではなく日本であるため、「大韓民国と日本国間の所得に対する租税の二重課税回避と脱税防止のための協約」上日本の居住者とみなすのが妥当であるにもかかわらず、上記条約に従い国内居住者として扱われなければならないため上記処分が適法であるとした本原審判断に法理誤解等の誤りがあったとした事例。

2018ドゥ60847判決[総合所得税賦課処分取消] [判例公報2019 876]

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