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韓国徴用工裁判に関するコラムの更新

2019.07.03

2019年6月19日、韓国大法院の判決以降初めて韓国政府が公式的な立場を表明した。その内容は、「訴訟当事者である日本企業を含む韓日両国の企業による自発的な拠出金によって財源を確保し、被害者に慰謝料該当額を支払う」方法を提案するというものである。韓国政府は、日本政府が今回の提案を受け入れるならば、日本政府が要請していた日韓請求権協定第3条第1項に基づく協議要請に応じる用意があるとしているが、日本政府は、同日、韓国政府の提案について「解決策にはならない」との見解を表明しており、実質的な交渉の進展につながる見通しは立っていない。

2018年10月30日の判決以降の韓国側の動きとしては、2019年1月9日に原告側が日本企業の財産差押手続の申請を行い、5月1日には被告会社が韓国国内で保有する株式の売却命令の申請を行っていた。

日本政府は、韓国大法院判決は日韓請求権協定第2条(注1)に違反すると主張するとともに、韓国側に同協定第3条第1項(注2)に基づく協議を要請した。しかし、韓国政府が一向にこの要請に応じないことから、日本政府はこの問題を外交上の経路で解決することができない紛争と判断し、5月20日、日韓請求権協定第3条第2項(注3)に基づく仲裁付託を韓国側に通告するに至った。さらに、仲裁委員任命期限である6月18日を過ぎても韓国政府が仲裁委員を任命しなかったため、6月19日、日本政府は次のステップとなる日韓請求権協定第3条第3項(注4)に基づき第三国の選定に応じるよう韓国政府に要請している。

なお、7月1日、経済産業省は、外国為替及び外国貿易法(外為法)上輸出許可の取得が免除されている27の対象国(いわゆる「ホワイト国」)から韓国を除外すること、また、7月4日より、半導体等の原材料となるフッ化水素、フッ化ポリイミド、レジストの3品目の韓国向け輸出について、複数の品目に対し一括で許可を受けられる包括許可制度から取引ごとに申請が必要となる個別許可申請制度に切り替えると発表した。現在、行政手続法に基づく一般市民からの意見公募を実施中である。

経済産業省によれば当該措置は「日韓間の信頼関係が著しく損なわれた」ことを理由とするものであるとされており、大法院判決には直接言及されていない。もっとも、韓国内の報道においては大法院判決に対する事実上の対抗措置であるとの見方も示されており、大法院判決に端を発した一連の問題は、日韓の経済関係にも影響を及ぼす形で複雑化しつつある。

韓国産業通商資源部によれば、上記発表を受けて同日緊急会議を開き対応を検討した上で、日本の取りうる措置に備え、輸入先の多角化、国内生産設備の充実、技術開発による国産化等の対応を既に推進しており、主要素材、設備、部品の安定的な供給及び技術力確保のための対策も近く発表する予定としている。韓国政府は今回の日本の措置についてWTOへの提訴など対応を検討しているとの報道もあるが、まだ対応についての正式な発表はなされていない。

(注1)両締約国は、両締約国及びその国民(法人を含む。)の財産、権利及び利益並びに両締約国及びその国民の間の請求権に関する問題が、1951年9月8日サンフランシスコ市で署名された日本国との平和条約第4条(a)に規定されたものを含めて、完全かつ最終的に解決されたこととなることを確認する。(以下省略)

(注2)この協定の解釈及び実施に関する両締約国間の紛争は、まず、外交上の経路を通じて解決するものとする。

(注3)1の規定により解決することができなかった紛争は、いずれか一方の締約国の政府が他方の締約国の政府から紛争の仲裁を要請する公文を受領した日から30日の期間内に各締約国政府が任命する各一人の仲裁委員と、こうして選定された二人の仲裁委員が当該期間の後の30日の期間内に合意する第三の仲裁委員又は当該期間内にその二人の仲裁委員が合意する第三国の政府が指名する第三の仲裁委員との三人の仲裁委員からなる仲裁委員会に決定のため付託するものとする。ただし、第三の仲裁委員は、両締約国のうちいずれかの国民であってはならない。

(注4)いずれか一方の締約国の政府が当該期間内に仲裁委員を任命しなかったとき、又は第三の仲裁委員若しくは第三国について当該期間内に合意されなかったときは、仲裁委員会は、両締約国政府のそれぞれが30日の期間内に選定する国の政府が指名する各一人の仲裁委員とそれらの政府が協議により決定する第三国の政府が指名する第三の仲裁委員をもって構成されるものとする。

 

前回の「韓国徴用工裁判(2018.10.30)に関するコラム」はこちらからご覧ください。

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