「最新!中国ビジネス法の実務動向」(No.16 自然人や企業間の貸付行為等に関する司法解釈について(1))が掲載されました。
No.16 自然人や企業間の貸付行為等に関する司法解釈について(1)
1. 最高人民法院による「法釈[2015]18号」の公布
本年8月6日、「民間貸借案件審理の適用法律にかかる若干問題に関する最高人民法院の規定」(法釈[2015]18号)が公布されました(以下「本解釈」)。本解釈は企業間の貸付行為の有効性に関するこれまでの考え方の見直しや、利息等に関する各種規準の明示等、実務に影響しうる重要な内容を含みますので、以下、本解釈のポイントを解説します。
2. 「民間貸借」とは
本解釈は民間貸借に関する紛争案件の正確な審理を目的として、全33条で構成される司法解釈です。本規定にいう「民間貸借」とは「自然人、法人、その他組織の間、及びその相互の間において実施される資金融通の行為」を指します(第1条)(※1、※2)。これらの民間貸借に基づく紛争が人民法院で審理される場合、本解釈が適用されます(※3)。
3. 本解釈が規定する事項
本解釈には、民間貸借紛争に基づく訴訟における証拠に関するルール、契約履行地、保証人がいる場合の処理、民間貸借が違法な犯罪行為に該当する疑いがある場合の処理、契約の効力発生、契約が無効となる状況、虚偽民事訴訟の該当性判断、虚偽民事訴訟に該当する場合の処理、インターネット融資プラットホームに関する事項、企業の法定代表者等が企業名義で借り入れた場合の処理、期限前返済に関する事項等多くの内容が規定されます。以上の内容に加えて、本解釈には企業間貸付に関する事項、及び利息・遅延利率等に関する事項が規定されており実務上重要な意義を持つことから、これらについては次回及び次々回の本欄でそれぞれ検討します。
4. 施行日及びこれに伴う各種事項の処理等
本解釈は本年9月1日より施行されています。なお、本解釈の施行に伴う各種事項(例:本解釈施行前に成立した民間貸借契約に対する本解釈の適用関係)については、本年8月28日、最高人民法院より「『民間貸借案件審理の適用法律にかかる若干問題に関する最高人民法院の規定』を真摯に学習し、適用を貫徹することに関する最高人民法院の通知」が発布され、その処理方法を規定しています。