TOPその他更新情報 「最新!中国ビジネス法の実務動向」(No.2 預金保険制度の導入計画について)が掲載されました。

その他更新情報

「最新!中国ビジネス法の実務動向」(No.2 預金保険制度の導入計画について)が掲載されました。

No.2 預金保険制度の導入計画について

1. パブリックコメント手続が開始した。

中国では、以前より預金保険(中国語では「存款保険」)制度の導入準備が進められてきました。そして、今般(本年11月30日)、国務院法制弁公室より「預金保険条例」のパブリックコメント稿(以下「パブコメ稿」)が発表され、本年12月30日を期限として意見募集がなされています。正式な施行時期は未定ですが、当該意見募集期間の終了後、比較的早期に制度導入が実現する可能性もあります。なお、パブコメ稿は全23条で構成され、預金保険制度の適用主体・範囲、補償上限額、手続事項、預金保険基金の関連事項及び当事者の責任等を規定します。パブコメ稿と同時に中国人民銀行による制度説明、及び預金保険についてのQ&Aも発表されました。

2. 当該制度の適用対象は?

制度の対象には中国国内で設立された商業銀行や農村合作銀行等、預金受け入れを行なう銀行業金融機関が広く含まれ、これらの機関は預金保険に加入する義務を負います。外国銀行の現地法人(外商独資及び中外合弁形態の銀行)も上記対象に含まれますが、一方で外国銀行の中国国内における分支機構や中国資本銀行の中国国外における分支機構は原則として対象外です(第2条)(※1)。

3. 補償される金額上限は?

預金保険制度に基づき、保険に加入する金融機関における預金者の預金(人民幣預金及び外貨預金)は一部の例外を除き保護されることになりますが、補償額には上限が設定されています。補償上限は「人民幣50万元」(※2)であり、当該金額を超える部分については、当該金融機関の清算財産中から法律に基づき所定の弁済を受けられるのみです(第4条、第5条)。但し上記中国人民銀行による制度説明によれば、上記の補償上限額は、中国人民銀行が2013年末を基準として行った計算では99.63%の預金者の全預金をカバーできるとのことです。

【注】
※1 本稿中で引用する条文番号はいずれもパブコメ稿のものです。
※2 当該上限額は中国人民銀行が国務院の関係部門と共に諸要素を考慮した上、所定の手続を経て調整されることもあります(第5条)。
(2014年12月9日 弁護士 小林幹雄