TOPその他更新情報 「最新!中国ビジネス法の実務動向」(No.28 新エネルギー自動車の関連政策について(6))が掲載されました。

その他更新情報

「最新!中国ビジネス法の実務動向」(No.28 新エネルギー自動車の関連政策について(6))が掲載されました。

No.28 新エネルギー自動車の関連政策について(6)

1. 最初に

本欄No.26、27では、財政面における新エネ車普及促進の関連政策として「2016-2020年新エネルギー自動車推進拡大応用財政支持政策に関する財政部、科技部、工業及び情報化部、発展改革委の通知」(以下「本通知」といいます。)の概要を紹介しました。この点、中国の各地域では本通知のような中央レベルの政策文書に基づく補助金政策とは別に、地方レベルの補助金政策が実施されている場合もあります。今回は、このうち北京市の例を取り上げて紹介します。

2. 北京市における関連政策

北京市において現在実施されている新エネ車普及促進の補助金政策の根拠規定は、2015年9月28日に施行された「北京市モデル提示応用新エネルギー小型乗用車管理弁法(2015年修正版)」です(以下「本弁法」といいます。)(※1)。本弁法は、全7章(「総則」「生産企業及び新エネルギー小型乗用車の条件」「充電インフラ」「補助申請・受領」「監督管理」「職責分担」「附則」)、合計19条で構成されます。その有効期間は2017年12月31日までです(本弁法第19条)。

3. 補助金の対象、製品及び標準等

本弁法は、新エネ車の購入に対する北京市の財政による補助金支給の枠組みを規定します。第4章「補助申請・受領」によれば、中央レベルの補助金政策と同様、補助金の支給対象は消費者であり、消費者は補助金相当額控除後の金額で新エネ車を購入することができます。新エネ車メーカーは、その後、所定の手続に従い、北京市の財政より補助金相当額の給付を受けることになります(本弁法第11条)。なお、本弁法が補助金の対象製品として規定するのは国家の「新エネルギー自動車推進拡大応用プロジェクト推薦モデルリスト」(本欄No.27参照。)に掲載された新エネルギー小型乗用車です(本弁法第3条)(※2)。
そして、本弁法による補助金支給の標準は、「新エネルギー自動車推進拡大応用業務の継続的展開に関する財政部、科技部、工業及び情報化部、国家発展改革委の通知」(財建[2013]551号)(※3)及び本通知を参照して、国家による補助金と北京市による補助金が1:1の割合となるように確定されます。同時に、両者の補助金の総額は最高でも車両販売価格の60%を超えないものとされています(本弁法第12条)。

4. その他の事項

上述した内容のほか、本弁法第2章「生産企業及び新エネルギー小型乗用車の条件」の項目は、補助金対象となる車両及びその生産企業が満たすべき各種の条件を規定します。また第3章「充電インフラ」の項目は充電インフラの定義や関連標準への適合要求等について、第5章「監督管理」の項目は関連当事者の責任等について、第6章「職責分担」の項目は北京市各部門の職責についてそれぞれ規定しています。

上述した北京市の例に見られるような中央、地方両レベルにおける補助金政策は、近時における新エネ車の急速な普及の大きな要因となっているものです。

【注】
※1 本欄No.26で触れた通り、本弁法は2014年1月23日に発布された「北京市モデル提示応用新エネルギー小型乗用車管理弁法」に代わるものです。
※2 なお、ここでいう新エネルギー小型乗用車とは、本弁法第2条所定の「モデル提示応用新エネルギー小型乗用車」(北京で届出を完了した小型、超小型の純電気駆動旅客自動車であり、純電動自動車及び燃料電池自動車を含む。)のことです。
※3 当該文書については、本欄No.26において触れています。
(2016年1月29日 弁護士 小林幹雄