TOPその他更新情報 「最新!中国ビジネス法の実務動向」(No.7 外国投資法の制定作業について(2))が掲載されました。

その他更新情報

「最新!中国ビジネス法の実務動向」(No.7 外国投資法の制定作業について(2))が掲載されました。

No.7 外国投資法の制定作業について(2)

1. 外国投資の参入管理に関する改正案の内容

パブコメ稿では、外国投資の参入管理に関して以下のような内容を規定しています(※1)。

① 外国投資家の中国国内投資は、「外国投資特別管理措置目録」に別途規定される投資領域・項目を除き、国民待遇を享受すること(第6条)。

② 「外国投資特別管理措置目録」には、実施禁止目録と実施制限目録が含まれること。前者に列挙される領域の投資は禁止され、後者に列挙される規模・領域の投資には、当該目録所定の条件を満たした上で国務院の外国投資主管部門の参入許可が必要であること(第24条から第26条)。

③ 上記以外の投資(実施制限目録に含まれないもの)については、参入許可申請が不要であること(第26条)。

2. 現状との比較

現行の外国投資参入管理の枠組みの下では、奨励類、許可類及び制限類の外商投資プロジェクト(※2)のいずれも、商務部門における審査認可が必要です。パブコメ稿ではこの点を変更し、「外国投資特別管理措置目録」(実施制限目録)に記載されていない限り、その投資行為について参入許可を不要とします(いわゆる「ネガティブリスト管理」への変更。)。
商務部説明によれば、現行の「三資企業法」に基づく案件毎の審査認可管理制度では、開放型経済の新体制構築の要請に応えられなくなりつつあるという認識が存在するようです。

3. 実務への影響

外国投資法が正式に成立し、上記の内容が維持された場合、現状で審査認可の対象となっている外国投資案件の大部分につき、以後は審査認可手続を経ずに実施できることになるものと思われます。後述するように、参入許可が要求されない投資案件についても各種事項の報告が要求される等、引き続き一定の監督管理は実施されますが、少なくとも現状と比べる限り、投資案件の実施における迅速性・円滑性が高まることが期待できます。

【注】
※1 引用する条文番号はいずれもパブコメ稿のものです。
※2 これらの区別については、本欄No.1「外商投資産業指導目録の改正作業について」中の脚注(※1)をご参照下さい。
(2015年3月4日 弁護士 小林幹雄