外国判例の日本語訳を追加致しました。(韓国:(民事)航空貨物運送状の裏面約款の効力に関する事件[大法院2018.3.15.宣告])
2018.04.20
【判決要旨】
- 運賃及び保険料を含む(Carriage and Insurance Paid, CIP)条件で、買主を荷受人として、航空貨物運送人に運送物を委託する方法で物品を引き渡す輸出入売買契約が締結された場合、特別な事情がない限り、物品が到着地に到着することにより、買主が運送人に対し物品の引渡請求権を取得した時に売主から買主に物品の引渡しがなされ、その所有権が買主に移転される。この場合、売主としては、運送契約の対象である輸出物品が目的地に損傷のない状態で到着し、相手方に無事引き渡されることに関して、期待利益(expected profit)を含め経済的利益がないとはいえないため、売主と保険会社との間で締結した保険契約の被保険利益が売主にないとはいえない。
- 甲株式会社がパラグアイ所在の乙外国法人と運賃及び保険料を含む(Carriage and Insurance Paid, CIP)条件で、輸出契約を締結し、丙株式会社に運送を委託した輸出貨物が運送中に盗難される事故が発生すると、それから3日後に「盗難された貨物は、回収可能性がないため、損害賠償を請求する」という内容の書面を丙会社に送付したところ、甲会社と丙会社が締結した航空貨物運送契約には、「丙会社は、貨物の盗難等による甲会社と第三者の全ての損害を賠償しなければならない。損害賠償額は、甲会社が算定して書面通知をし、丙会社は、通知日から15日以内に全額現金で甲会社に支払わなければならない」という内容の条項があり、丙会社が輸出貨物を船積みする際に、荷送人を甲会社、荷受人を乙法人として発行した航空貨物運送状の裏面約款(Conditions of Contract on Reverse Side of the Air Waybill)には、「貨物が滅失、損傷、遅延した場合、引渡しを受ける権利を有する者(the person entitled to delivery)により、運送人に対し書面により異議が提起されなければならない。航空貨物運送状が発行された日又は貨物を引き取った日から120日以内に書面により異議がなされない場合には、運送人を相手に訴えを提起することができない」という内容の条項がある事案において、貨物の出発地と到着地がいずれも「国際航空運送についてのある規則の統一に関する条約」(以下「モントリオール条約」という。)の当事国であるため、上記国際航空運送に関する法律関係には、モントリオール条約が民法や商法に優先して適用されるが、モントリオール条約第11条、第12条第1項、第4項、第13条の体系と内容を総合すると、航空貨物運送において運送人が貨物を紛失し、又は貨物が到着しなかったときに、荷受人は、運送人に対し運送契約から発生した権利を行使する権限があり、荷送人に付与された権利は、荷受人の権利が発生した時に消滅するため、上記裏面約款の条項において、貨物の滅失、損傷、遅延した場合に、運送人に対し一定期間内に書面により異議を提起することができる「引渡しを受ける権利を有する者」は、運送途中に荷送人である甲会社がモントリオール条約第12条第1項で定める処分権を行使しない限り、荷受人である乙法人を意味し、但し、上記裏面約款の条項は、運送契約条項の内容に背馳する限度内では効力がないため、甲会社が運送契約条項に従い損害賠償を請求する書面を丙会社に送付した以上、丙会社は、裏面約款条項で定める不提訴の特約を主張することができないとした事例
2017タ240496判決(抄訳)[求償金] [判例公報2018 679]