外国判例の日本語訳を追加致しました。(韓国:(刑事)商標権者の同意のないオンライン販売等が商標権侵害に該当しないとした事件 [大法院2020.1.30.宣告])
2020.04.07
【判示事項】
[1] | 商標権者又はその同意を得た者が国内で登録商標が表示された商品を譲渡した場合、当該商品に対する商標権が消尽するか否か(積極)/通常使用権契約上通常使用権の範囲を超える通常使用権者の商標使用行為は商標権者の同意を受けていないものと判断することができるか否か(積極)及び通常使用権者が契約上付随的な条件に違反して商品を譲渡した場合、商標権の消尽有無及び商標権が侵害されたか否かを判断する基準 |
[2] | オンラインモール時計販売業者の実質的な代表者である被告人が、商標権者である甲株式会社が乙株式会社に甲会社と合意された売場で販売する場合には商標を使用することができる条件で、通常使用権を付与した「M」字文様のブランドが付着された時計を上記約定に違反して乙会社から納品を受け、甲会社と合意されていないオンラインモールやオープンマーケット等で販売することにより甲会社の商標権を侵害したという内容で起訴された事案において、乙会社が被告人に商品を供給することにより当該商品に対する商標権はその目的を達成したものとして消尽し、それによって商標権の効力は当該商品を使用し、譲渡し、又は貸与した行為等には及ばないとした事例 |
【判決要旨】
[1] | 商標権者又はその同意を得た者が国内で登録商標が表示された商品を譲渡した場合には、当該商品に対する商標権はその目的を達成したものとして消尽し、それによって商標権の効力は当該商品を使用し、譲渡し、又は貸与した行為等には及ばない。一方、指定商品、存続期間、地域など通常使用権の範囲は通常使用権契約に従い付与されるものであるため、これを超える通常使用権者の商標使用行為は商標権者の同意を受けていないものと判断することができる。しかし、通常使用権者が契約上付随的な条件に違反して商品を譲渡した場合まで一律的に商標権者の同意を受けていない譲渡行為であって権利消尽の原則が排除されるということはできず、契約の具体的な内容、商標の主たる機能である商標の商品出所表示及び品質保証機能の毀損有無、商標権者が商品販売により補償を受けたにもかかわらず、追加的な流通を禁ずる利益と商品を購入した需要者保護の必要性等を総合して商標権の消尽有無及び商標権が侵害されたか否かを判断しなければならない。 |
[2] | オンラインモール時計販売業者の実質的な代表者である被告人が、商標権者である甲株式会社が乙株式会社に甲会社と合意された売場で販売する場合には商標を使用することができる条件で、通常使用権を付与した「M」字文様のブランドが付着された時計を上記約定に違反して乙会社から納品を受け、甲会社と合意されていないオンラインモールやオープンマーケット等で販売することにより甲会社の商標権を侵害したという内容で起訴された事案において、被告人が販売した時計は甲会社の許諾を受けて乙会社が適法に商標を付着して生産した真正商品であり、販売場所制限約定に違反して被告人のインターネットショッピングモールで商品を流通させたことのみでは商標の出所表示機能や品質保証機能が侵害されたとはいい難い点、商標権使用契約上乙会社に時計商品に対する製造・販売権限が付与されており、販売を全面禁止した在来市場とは異なり、ディスカウントストアやインターネットショッピングモールにおける販売は商標権者の同意の下に可能であり、流通が原則的に禁止されてもいない点、被告人のインターネットショッピングモールが、販売が許可された他のインターネットショッピングモールと根本的な差異がなく、インターネットショッピングモールで販売されるということのみで直ちに甲会社商標の名声やこれまで甲会社が構築した商標権に対するイメージが損傷するともいい難い点、甲会社は商標権使用契約に従い乙会社から商標権使用料の支払を受けることとし、乙会社は被告人から対価を受け取って商品を供給したため、商品が販売されることにより商標権者に金銭的補償がなされたと判断することができ、商標権者が追加的な流通を禁ずる利益が大きいとはいい難い反面、取引を通じて商品を購入した需要者保護の必要性は認められるという点を総合すると、結局、乙会社が被告人に商品を供給することにより当該商品に対する商標権はその目的を達成したものとして消尽し、それによって商標権の効力は当該商品を使用し、譲渡し、又は貸与した行為等には及ばないという理由で、これと異なった判示をした原審判断に商標権の消尽に関する法理を誤解した誤りがあったとした事例。 |
2018ド14446判決[商標法違反] [判例公報2020 597]