TOPその他更新情報 外国判例の日本語訳を追加致しました。(韓国:(民事)ゴルフ場を無断撮影してスクリーンゴルフ場の映像として再現する行為が不正競争行為だとした事件[大法院2020.3.26.宣告])

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外国判例の日本語訳を追加致しました。(韓国:(民事)ゴルフ場を無断撮影してスクリーンゴルフ場の映像として再現する行為が不正競争行為だとした事件[大法院2020.3.26.宣告])

【判示事項】

[1] 旧不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律第2条第1号(チャ)目で定める不正競争行為に該当するか否かを判断する基準
[2]  甲株式会社が、乙株式会社等が所有するゴルフ場を無断撮影した後、その写真等を基に3Dコンピューターグラフィック等を利用して上記ゴルフ場のゴルフコースをほとんどそのまま再現した立体的イメージのゴルフコース映像を制作した後、これをスクリーンゴルフ場運営業者に提供したところ、乙会社等が、上記行為が旧不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律第2条第1号(チャ)目で定める不正競争行為等に該当するとして損害賠償を求めた事案において、ゴルフ場の総合的な「イメージ」は、ゴルフコース設計とは別個にゴルフ場を造成・運営する乙会社等の相当な投資や努力によって作られた成果に該当し、甲会社の行為は、乙会社等の成果等を公正な商取引慣行や競争秩序に反する方法で自身の営業のために無断で使用することによって、乙会社等の経済的利益を侵害する行為に該当するとした原審判断に上記(チャ)目の保護対象等に関する法理誤解等の誤りがないとした事例

【判決要旨】

[1] 大法院は、「競争者が相当な努力と投資によって構築した成果物を商道徳や公正な競争秩序に反して自身の営業のために無断で利用することによって、競争者の努力と投資に便乗して不当に利益を得て、競争者の法律上保護する価値のある利益を侵害する行為は不正な競争行為であり、民法上不法行為に該当する。」と判断した。その後2013年7月30日に、法律第11963号により改正された不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律第2条第1号(チャ)目は、上記大法院決定の趣旨を反映して「その他、他人の相当な投資や努力によって作られた成果等を公正な商取引慣行や競争秩序に反する方法で自身の営業のために無断で使用することによって、他人の経済的利益を侵害する行為」を不正競争行為の一つとして追加し、2018年4月17日、法律第15580号により改正された不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律で、上記(チャ)目は(カ)目に変更された[以下「(カ)目」という]。
上記(カ)目は、旧不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律(2013年7月30日法律第11963号により改正される前のもの)の適用範囲に含まれていなかった新たな類型の不正競争行為に関する規定を新設したものである。これは、新たに登場する経済的価値を帯びた無形の成果を保護し、立法者が不正競争行為の全ての行為を規定できなかった点を補完して法院が新たな類型の不正競争行為をより明確に判断できるようにすることによって、変化する取引観念を適時に反映して不正競争行為を規律するための補充的な一般条項である。
上記の法律規定及び立法経緯等を総合すると、(カ)目はその保護対象である「成果等」の類型に制限を置いていないため、有形物のみならず、無形物もこれに含まれ、従来の知識財産権法に従い保護を受けることが困難であった新たな形態の結果物も含まれうる。「成果等」を判断するときには、上記の結果物が有することになった名声や経済的価値、結果物に化体された顧客吸引力、当該事業分野において結果物が占める比重及び競争力等を総合的に考慮しなければならない。このような成果等が「相当な投資や努力によって作られた」ものであるか否かは、権利者が投入した投資や努力の内容及び程度をその成果等が属する産業分野の慣行や実態に照らし具体的・個別的に判断するが、成果等を無断で使用することによって侵害された経済的利益が、誰でも自由に利用することのできる、いわゆる公共領域(public domain)に属さないと評価することができなければならない。また、(カ)目が定める「公正な商取引慣行や競争秩序に反する方法で自身の営業のために無断で使用」した場合に該当するためには、権利者と侵害者が競争関係にあり、又は近い将来に競争関係に置かれる可能性があるか、権利者が主張する成果等が含まれた産業分野の商取引慣行や競争秩序の内容とその内容が公正であるか、上記の成果等が侵害者の商品やサービスによって市場において代替可能であるか、需要者や取引者らに成果等がどの程度知られていたか、需要者や取引者らの混同可能性があるかなどを総合的に考慮しなければならない。
[2] 甲株式会社が、乙株式会社等が所有するゴルフ場を無断撮影した後、その写真等を基に3Dコンピューターグラフィック等を利用して上記ゴルフ場のゴルフコースをほとんどそのまま再現した立体的イメージのゴルフコース映像を制作した後、これをスクリーンゴルフ場運営業者に提供したところ、乙会社等が、上記行為が旧不正競争防止及び営業秘密保護に関する法律(2018年4月17日法律第15580号により改正される前のもの)第2条第1号(チャ)目で定める不正競争行為等に該当するとして損害賠償を求めた事案において、ゴルフ場のゴルフコースは設計者の著作物に該当するが、ゴルフコースを実際にゴルフ場の敷地に造成することによって外部に表現される地形、景観、造景要素、設置物等が結合されたゴルフ場の総合的な「イメージ」は、ゴルフコース設計とは別個にゴルフ場を造成・運営する乙会社等の相当な投資や努力によって作られた成果に該当し、乙会社等と競争関係にある甲会社が乙会社等の許諾を受けずにゴルフ場の姿をほとんどそのまま再現したスクリーンゴルフシミュレーションシステム用3Dゴルフコース映像を制作、使用した行為は、乙会社等の成果等を公正な商取引慣行や競争秩序に反する方法で自身の営業のために無断で使用することによって、乙会社等の経済的利益を侵害する行為に該当するとした原審判断に上記(チャ)目の保護対象、経済的利益の侵害有無、公正な商取引慣行及び競争秩序等に関する法理誤解等の誤りがないとした事例。

2016ダ276467判決[損害賠償(ジ)] [判例公報2020 809]