TOPその他更新情報 外国判例の日本語訳を追加致しました。(韓国:(刑事)違法なウェブページ等のリンク行為が著作権法違反幇助に該当するとされた事件[大法院2021.09.09.宣告全員合議体判決])

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外国判例の日本語訳を追加致しました。(韓国:(刑事)違法なウェブページ等のリンク行為が著作権法違反幇助に該当するとされた事件[大法院2021.09.09.宣告全員合議体判決])

【判示事項】

[1] 公衆送信権を侵害する掲示物やその掲示物が位置するウェブページ等に繋がるリンクをした行為が公衆送信権侵害に該当するか否か(消極)
[2] 正犯が公衆送信権を侵害する掲示物をインターネットウェブサイトサーバー等にアップロードし、公衆の構成員が個別的に選択した時間及び場所においてアクセスできるよう利用に供した後、侵害掲示物をサーバーから削除するなどにより掲示を撤回しない場合、正犯の犯罪行為が幇助の対象となりうるか否か(積極)/公衆送信権を侵害する掲示物である映像著作物に繋がるリンクを自身が運営するサイトに営利的・継続的に掲示した行為が伝送の方法により公衆送信権を侵害した正犯の犯罪を幇助した行為に該当するか否か(積極)/公衆送信権侵害に対する幇助が成立しない場合

【判決要旨】

[1] 公衆送信権を侵害する掲示物やその掲示物が位置するウェブページ等(以下総称して「侵害掲示物等」という)に繋がるリンクをした行為であっても、伝送権(公衆送信権)侵害行為の構成要件である「伝送(公衆送信)」に該当しないため伝送権侵害が成立しない。これは大法院の確立された判例である。
リンクは、インターネットにおいてリンクしようとするウェブページやウェブサイト等のサーバーに保存された個々の著作物等のウェブの位置情報または経路を示したものに過ぎない。インターネット利用者がリンク部分をクリックすることによって侵害掲示物等に直接繋がっても、このような繋がる対象の情報を伝送する主体は、これをインターネットウェブサイトサーバーにアップロードし公衆が利用できるように提供する側であって、その情報に繋がるリンクを設定した者ではない。リンクは単に著作物等の伝送を依頼する指示や依頼の準備行為または当該著作物に繋がる通路に該当するに過ぎないため、リンクを設定した行為は伝送に該当しない。したがって、伝送権(公衆送信権)侵害に関する上記判例は妥当である。
[2] [多数意見](ア)公衆送信権侵害の幇助に関する従前の判例は、インターネット利用者がリンクのクリックを通じて著作者の公衆送信権等を侵害するウェブページに直接繋がっても、リンクをした行為が「公衆送信権侵害行為の実行自体を容易にするとはいえない。」という理由で、リンク行為のみでは公衆送信権侵害の幇助行為に該当すると認められないという法理を展開している。
リンクはインターネット空間を通じた情報の自由な流通を活性化し、表現の自由を実現するなどの固有の意味と社会的機能を有する。インターネット等を利用する過程で日常的に行われるリンク行為についてまで公衆送信権侵害の幇助を安易に認めることは、インターネット空間において表現の自由や一般的行動の自由を過度に委縮させるおそれがあり望ましくない。
しかし、リンク行為がいかなる場合にも公衆送信権侵害の幇助行為に該当しないという従前の判例は、幇助犯の成立に関する一般法理等に照らすと再検討する必要がある。これはリンク行為を公衆送信権侵害の幇助であると安易に断定してはならないこととは別の問題である。
(イ)正犯が侵害掲示物をインターネットウェブサイトサーバー等にアップロードし、公衆の構成員が個別的に選択した時間及び場所においてアクセスできるよう利用に供すれば、公衆に侵害掲示物を実際に伝送しなくとも公衆送信権侵害は既遂に至る。ところが、正犯が侵害掲示物をサーバーから削除するなどにより掲示を撤回しなければ、これを公衆の構成員が個別的に選択した時間及び場所においてアクセスできるよう利用に供する可罰的な違法行為が引き続き繰り返されており公衆送信権侵害の犯罪行為が終了していないため、そのような正犯の犯罪行為は幇助の対象となりうる。
(ウ)著作権侵害物のリンクサイトから侵害掲示物に繋がるリンクを提供する場合などのように、リンク行為者が、正犯が公衆送信権を侵害するという事実を十分に認識しつつ、そのような侵害掲示物等に繋がるリンクをインターネットサイトに営利的・継続的に掲示するなどにより公衆の構成員が個別的に選択した時間及び場所において侵害掲示物に容易にアクセスできるようにする程度のリンク行為をした場合には、侵害掲示物を公衆の利用に供する正犯の犯罪を容易にするため、公衆送信権侵害の幇助犯が成立する。このようなリンク行為は、正犯の犯罪行為が終了する前段階で侵害掲示物を公衆の利用に供する正犯の犯罪実現と密接な関連があり、その構成要件的結果、発生の機会を現実的に増大させることによって正犯の実行行為を容易にし、公衆送信権という法益の侵害を強化・増大させたと評価することができる。リンク行為者に幇助の故意と正犯の行為も認めることができる。
(エ)著作権侵害物のリンクサイトから侵害掲示物に繋がるリンクを提供する場合などのように、リンク行為はその意図や様態によっては公衆送信権侵害と密接な関連があるものとして、その行為者に幇助責任の帰属を認めることができる。このような場合、インターネットにおける円滑な情報交流と流通のための手段であるというリンク固有の社会的意味は名目上のものに過ぎない。ただし、行為者が、リンク対象が侵害掲示物等であるという点を明確に認識できていない場合には幇助が成立せず、侵害掲示物等に繋がるリンクを営利的・継続的に提供した程度に至っていない場合などのように、幇助犯の故意もしくはリンク行為と正犯の犯罪実現との間の因果関係が否定される可能性があり、または法秩序全体の観点から検討すると社会的相当性を備えたと認められる場合には公衆送信権侵害に対する幇助が成立しない可能性がある。
[大法官3名の反対意見]次の理由で多数意見に同意することができない。第一に、多数意見は規制と処罰の必要性を掲げて著作権侵害物のリンクサイトから侵害掲示物に繋がるリンクを提供するリンク行為を処罰しようと刑法総則上の概念である幇助についての拡張解釈、リンク行為及び幇助行為と正犯の犯罪との間の因果関係に関する拡張解釈を通じて刑事処罰の対象を拡大しているが、これは刑事処罰の過剰化を招き、私生活の領域の非犯罪化という時代的流れに逆行するものである。第二に、多数意見は幇助犯成立範囲の拡大によりもたらされる副作用を縮小しようと営利的・継続的形態のリンク行為のみを幇助犯として処罰することができるとするが、これは一般的な幇助犯の成立と従属性、罪数等の法理に反し、法院に幇助犯の成立が問題となる度にその成立要件を一つ一つ定めなければならない負担を負わせ、罪刑法定主義原則による法的安定性と予測可能性に多大な混乱をもたらさざるをえない。第三に、著作権侵害物のリンクサイトから侵害掲示物に繋がるリンクを提供するリンク行為について従前の判例を変更して有罪と判断する正当性は認められ難い。仮に、著作権侵害物のリンクサイトにおける営利的・継続的リンク行為の弊害が増加しているとしても、これについては立法を通じて対処するのが望ましい。リンク行為の類型化とそれによる処罰の必要性及び根拠条項を備えるための立法議論が行われている現時点において、大法院が構成要件と基本法理を拡張し、従前に罪にならないと認めていた行為に関する見解を変えて刑事処罰の範囲を広げること(事実上遡及処罰に該当する)は決して望ましくない。十分な議論を通じて社会的合意を導き出し、それによる立法的決断を待つことが正しい制度導入のためにも必要である。結論として、争点に関する従前の判例の見解は依然として妥当であるため維持されなければならない。

2017ド19025全員合議体判決[著作権法違反幇助] [判例公報2021 1881]