TOPその他更新情報 外国判例の日本語訳を追加致しました。(韓国:(一般行政)学習誌教師の労働組合法上の勤労者性判断に関する事件[大法院2018.6.15.宣告])

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外国判例の日本語訳を追加致しました。(韓国:(一般行政)学習誌教師の労働組合法上の勤労者性判断に関する事件[大法院2018.6.15.宣告])

【判決要旨】

  1. 労働組合及び労働関係調整法(以下「労働組合法」という。)上の勤労者は、他人との使用従属関係の下で労務に従事し、対価として賃金その他収入を受け取って生活する者をいう。具体的に労働組合法上の勤労者に該当するか否かは、労務提供者の所得が特定事業者に主として依存しているのか、労務の提供を受ける特定事業者が報酬を含めて労務提供者と締結する契約内容を一方的に決定するのか、労務提供者が特定事業者の事業遂行に必須の労務を提供することにより特定事業者の事業を通じて市場に接近するのか、労務提供者と特定事業者の法律関係が相当程度に持続的・専属的であるのか、使用者と労務提供者との間にどの程度指揮・監督関係が存在するのか、労務提供者が特定事業者から受け取る賃金・給料等の収入が労務提供の対価であるのかなどを総合的に考慮して判断しなければならない。

    労働組合法は、個別的勤労関係を規律するために制定された勤労基準法とは異なり、憲法による勤労者の労働三権の保障を通じて、勤労条件の維持・改善と勤労者の経済的・社会的地位向上等を目的に制定された。このような労働組合法の立法目的と勤労者に対する定義規定等を考慮すれば、労働組合法上の勤労者に該当するか否かは、労務提供関係の実質に照らし、労働三権を保障する必要性があるか否かの観点から判断しなければならず、必ずしも勤労基準法上の勤労者に限定されるものではない。

  2. 学習誌開発及び教育等の事業を行う甲株式会社が全国学習誌産業労働組合所属の組合員であり、学習誌教師である乙らと学習誌会員の管理、募集、教育を内容とする委託事業契約を締結したが、その後これを解約すると、乙らが不当解雇及び不当労働行為に該当するという理由で救済命令を申し立てた事案において、業務内容、業務準備及び業務遂行に必要な時間等に照らすと、学習誌教師らが兼業をすることは現実的に困難であると思われ、甲会社から受け取る手数料が学習誌教師らの主な所得源であったものと考えられる点、甲会社は、不特定多数の学習誌教師を相手に予め備えられた定型化された形式により委託事業契約を締結したため、報酬を含めて、委託事業契約の主な内容が甲会社により一方的に決定されたものと認められる点、乙らが提供した労務は、甲会社の学習誌関連事業遂行に必須のものであり、乙らは、甲会社の事業を通じて学習誌開発及び学習誌会員の管理・教育等に関わる市場に接近した点、乙らは甲会社と一般的に1年単位で委託事業契約を締結し、契約期間を自動延長してきたため、委託事業契約関係は持続的であり、甲会社に相当程度に専属していたと考えられる点などに照らすと、乙らは労働組合及び労働関係調整法(以下「労働組合法」という。)上の勤労者に該当し、全国学習誌産業労働組合は、労働組合法上の勤労者である学習誌教師らの経済的・社会的地位の向上を図ることを目的として組織された団体であることから、労働組合法第2条第4号本文で定める労働組合に該当するとした事例。
  3. 使用者の行為が労働組合及び労働関係調整法で定める不当労働行為に該当するか否かは、使用者の不当労働行為意思の存在有無を推定しうる全ての事情を全体的に審理、検討して総合的に判断しなければならず、不当労働行為の証明責任は、これを主張する勤労者又は労働組合にある。そのため、必要な審理を全て行ったとしても、使用者に不当労働行為意思が存在したか否かが明確でなく、その存在有無を確定しえない場合には、それによる危険や不利益は、それを主張した勤労者又は労働組合が負担せざるをえない。これと関連し、使用者が勤労者に懲戒や解雇等その他不利益となる処分をしたが、それに関して審理した結果、当該処分をすべき正当な事由があったことが明らかになれば、使用者のそのような不利益となる処分が不当労働行為意思に起因してなされたものと迂闊に断定することはできない。

2014ドゥ12598、12604判決[不当解雇及び不当労働行為救済再審判定取消・不当解雇及び不当労働行為救済再審判定取消] [判例公報2018 1286]